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特集

砂漠に咲いた夢
ドバイ

JANUARY 2007

文=アフシン・モラビ 写真=マギー・スティーバー

天楼、大規模な港湾施設、巨大モール・・・わずか30年ほどで驚異の発展を遂げたアラビア湾岸の都市ドバイ。ここはいま、贅沢(ぜいたく)の都となった。

  昔々、大きな夢を抱いたアラブの首長がいた。そこはペルシャ湾沿岸の灼熱の太陽が照りつけるのどかな村で、人々は漁や真珠採り、交易で生計を立てていた。曲がりくねった細い川には今にも壊れそうな三角帆のダウ船や漁船が停泊していた。だがシェイク・ラーシド・ビン・サイード・アール・マクトゥームは、ほかの人から見れば海水の混じる見すぼらしい川を、世界へ通じる近道だと確信していた。

 1959年のある日のこと、シェイク・ラーシドは石油収入でうるおう隣国クウェートから膨大な資金を借りた。川を浚渫して幅を広げ、大きな船が入れるようにするためだ。さらに彼は埠頭や倉庫を建設し、道路や学校、住宅の建設も計画した。

  頭がおかしくなったと思う人もいたし、うまくいくはずがないと言う人もいたが、シェイク・ラーシドは新しいことが始まる可能性を信じていた。時折、彼は夜明けに幼い息子のムハンマドを連れて人気のない海岸地区を散歩しながら、身振り手振りを交えて大きな夢を語った。そしてとうとう夢はかなった。彼は都を造り、人々はそこにやってきたのだ。

 シェイク・ラーシドの造った都市ドバイは、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国の一つドバイの首都で、現在は彼の息子で57歳になるシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームが首長を務めている。かつて父のシェイク・ラーシドが語った夢は、今ではシェイク・ムハンマド自身のものになり、川沿いに空調の完備した高層ビルがライトアップされてそそり立つ、幻想的な百万都市として実現した。

 米国ニューヨークのマンハッタンを思わせる摩天楼、世界的な規模を誇る港、そして免税店の並ぶ、けた外れに巨大なショッピングモール。小さなドバイには今やインドより多くの観光客が訪れ、シンガポールより多くの船舶が寄港し、ポルトガルやベルギー、東欧諸国などの多くの欧州諸国を上回る、多額の外国資本が投じられている。150カ国以上の国の人々がここで暮らし、働いていて、経済成長率は中国の2倍近くの16%にも達する。今でもあちこちで工事中のクレーンが空に突き出している。

 近代化に失敗し、経済が停滞している国の多い中東で、ドバイは貴重な成功例だ。ドバイはたまたま華やかな成功を収めた例外なのか、それとも他のアラブ諸国が見習うべき手本となりうるのだろうか。ドバイの衛星テレビ局アルアラビーヤのディレクターで、サウジアラビア人のジャーナリスト、アブドゥルラーマン・アール・ラーシドはこう話す。「ドバイはアラブ諸国とイスラム世界にプレッシャーをかける存在だ。『ドバイが成功できたのなら、わが国も成功できるはずではないか』と自国政府に訴える人々が増えている」

 地球上のどこにも、ドバイのような国はほかにない。ここは贅沢の都だ。過剰なまでのチャンスと豊かさが混じりあい、衝突して、そのエネルギーは今にも爆発しそうなほど。ダイヤをちりばめた1台1万ドルの携帯電話が飛ぶように売れ、年間何百万もの外国人が買い物のためだけにやってくる。

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