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特集

シリーズ 地球の悲鳴
消えゆくアマゾンの森

JANUARY 2007

文=スコット・ウォレス 写真=アレックス・ウェッブ

シリーズ企画「地球の悲鳴」の第1弾。南米ブラジルのアマゾンでは、毎年2万平方キロにも及ぶ森林が破壊され続けている。欧米の巨大資本が開発に乗り出し、無法者がはびこる熱帯雨林の惨状を紹介する。

  あなたがこの記事を読み終えるまでのわずか1時間ほどの間に、南米のブラジル・アマゾンではざっとサッカー場150個分の熱帯雨林が消失している。アマゾンばかりではない。現在、地球のあちこちで自然環境や野生生物が脅威にさらされている。かつて熱帯・亜熱帯地域の海岸線の大半に広がっていたマングローブ林は、今や半分にまで減ってしまった。アフリカでは密猟で野生動物の存在が脅かされている。地球温暖化は極地方で大量の氷を解かしつつある。

 ナショナル ジオグラフィック誌は2007年、シリーズ企画「地球の悲鳴」を掲載していく。地球環境が今どんな危機にさらされているのか、それに対しどんな手立てを講じているのかを、日本を含め世界各地から報告する予定だ。第1回は、急速に破壊の進むアマゾンの熱帯雨林。経済のグローバル化が進み、巨大資本が次々とアマゾンの開発に乗り出してきたため、森林破壊にいっそう拍車がかかっている。銃とチェーンソー、ブルドーザーのごう音が響く無法地帯、アマゾンの実態を紹介しよう。

佐伯 裕史 日本版編集長

 ブラジル・アマゾンの熱帯雨林は、この40年間に20%近くが消失した。これは、欧州各国が南米に進出し始めてから450年の間に失われた森林の総面積を上回る広さだ。今後20年間にさらに20%が失われるとみられ、そうなれば森林の生態系は崩壊する。熱帯雨林に降る雨の半分は、同じ森林から蒸発した水だが、森林の伐採が進めば降雨量が減り、残る木々も枯れてしまう。

  これに地球温暖化が追い打ちをかける。アマゾンでは乾燥が進んで干ばつが深刻になり、森林火災が頻発するようになった。2005年に襲った干ばつでは、川の水位が最大12メートルも下がり、何百もの村が被害を受けた。ブラジル西部のパラ州やマト・グロッソ州、アクレ州、ロンドニア州などでは、開墾のために森林が勝手に焼き払われ、大量の二酸化炭素を放出している。熱帯雨林の崩壊は、もはや無視できないところまで来ているのだ。

  森林破壊の元凶は道路にある。東西を横切るアマゾン横断道路や、マト・グロッソ州からパラ州まで南北約1800キロに及ぶBR-163号線(通称、大豆ハイウエー)といった公道のほか、無許可で造られた林道が無数に延びている。これら林道の多くはマホガニーなど高価な木々を伐採するために業者が勝手に造ったもので、総延長はおよそ17万キロにも及ぶ。

  森林が伐採され尽くして、業者がいなくなると、今度は同じ林道を通って、土地を不法に占拠しようとする人々が入り込み、さらに破壊が進んでいく。彼らはこれまで人が踏み入ることのなかった森の奥深くで、一帯の自然を改変し、役人を買収して、恐喝や権利書の偽造といったあらゆる手段で土地を不法に取得する。

 ブラジルの人々はこうした土地の不法占有者を、「グリレイロ」と呼んでいる。ポルトガル語でコオロギを意味するグリロから生まれた造語である。土地の不法占有者は、コオロギを何匹も入れた引き出しに偽造した土地の権利書をしまってぼろぼろにし、古い書類に見せかけることから、こう呼ばれるようになった。

本誌には、より詳しい情報が掲載されています。ぜひ本誌もお読みください。


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