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特集

生まれたての地球の姿

DECEMBER 2006

文=ティム・アペンゼラー 写真=フランス・ランティング

46億年前に誕生した地球は、岩とガスばかりの地獄のような惑星だった。今でもさまざまな場所で、当時のような荒々しい光景が見られる。

 生まれたばかりの地球は、岩が焼けただれ、有毒ガスが蔓延する地獄のような惑星だった。やがて地表は冷え、山脈が隆起し、さらには生命が誕生して、今の地球の姿に近づいていく。これまで多くの研究者たちが、太古の岩や地中深くのマグマ、さらにクレーターだらけの月面を調べることで、この地球誕生のドラマを再現しようと試みてきた。

 地球が誕生したのは46億年ほど前のこと。原始的な太陽の周囲を回っている岩や氷の破片が、衝突と合体を繰り返し、原始の地球をはじめとする惑星が形づくられた。やがてその地球に、火星並みの大きさの天体が衝突する。原子爆弾1兆個分に相当するその衝突のエネルギーは、原始の地球にマグマの海(マグマ・オーシャン)を生み出し、ぶつかった天体の大半はそこにのみ込まれた。同時に小さな惑星をつくるのに十分な量の岩が、気化した状態で地球を回る軌道上に放り出された。それらが急速に集まってできた天体が、月だ。それからずっと、月は地球とともにある。

 月を生んだ灼熱の時代が終わると、地球の表面は冷えていく。だが、約38億年前までのおよそ7億年の間、地球はまだマグマの海に黒い岩石が流氷のように漂い、現在とは似ても似つかない姿だった。地質学の言葉で冥王代(ヘーディアン)と呼ばれる時代だ。冷え始めた岩はガスを放出し、灼熱の大気となって地球を覆った。この大気にはまだ酸素は含まれていない。大気の温度が下がると、水蒸気が凝結して雨が降り、盆地は水で覆われた。

 こうして生まれた最初の海は、短命に終わったのだろう。冥王代の間は、宇宙空間に残っていた天体が、いくつも地球に衝突していたからだ。巨大な天体が衝突して海水は蒸発し、地球は冷却と凝結のプロセスをもう一度繰り返したとも考えられている。

 38億年前になると、天体の衝突は少なくなり、海の水が完全に蒸発することはなくなった。ちょうどその頃、生命のいなかった海の中で化学変化の連鎖に大革命が起きる。自己を複製できる複雑な分子が誕生し、それをきっかけに、さらに複雑な分子が次々に登場していく。そして35億年前以降に、単細胞生物のシアノバクテリア(藍藻)が生まれ、太陽の光が当たる海の一部で繁栄したと考えられている。

 こうした無数の微生物が、地球の環境を一変させる。太陽のエネルギーを自分たちの養分に変換する光合成を行い、このプロセスで生じた老廃物として、酸素を放出したのだ。その結果、大気中の酸素が少しずつ増え、後に多種多様な生命が花開く条件を整えていく。

 地球と生命が生まれてから、気が遠くなるような時間が経過した。だが今でも、この地獄のような惑星が生命の息づく星に変化したプロセスを目にすることは可能だ。たとえば、火山の噴火は地球創生期の焼けつく熱さの名残といえる。現在でも、きわめて過酷な環境の場所では、数十億年前と同じようにシアノバクテリアが幅をきかせている。そして溶岩が冷えて固まった場所に植物が芽を出すたび、生命の誕生が繰り返されるのだ。


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