ハエは最初の交尾が子供の大きさを左右

2014.09.29
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ハエの子供の大きさは、母親が最初に交尾した相手によって決まる可能性があるという研究結果が発表され た。写真はナガズヤセバエ。

Photograph by Russell Bonduriansky
 オーストラリア、シドニーにあるニューサウスウェールズ大学の研究チームによれば、ハエの子供の大きさは母親が最初に交尾した相手によって決まる可能性があるという。たとえその相手が父親でなくてもだ。この奇妙な進化は精子に含まれる謎の化合物によって引き起こされている。 研究に参加した進化生態学者のアンジェラ・クリーン(Angela Crean)氏は、「予想すらしなかった不思議な 進化だ」と話す。

 どのように子供ができるかは知っての通りだ。精子と卵子が出会い、父親と母親の遺伝子を半分ずつ受け継い だ新しい生命がつくられる。ただし、胎児の発育には環境因子も影響を及ぼす。子宮の中でタバコ(人の場合) などの化学物質にさらされることなどだ。

「Ecology Letters」誌に発表された研究論文によれば、ハエの場合、精液が子供の大きさを左右する環境因子で あり、精液の持ち主であるオスと子供に血縁があるかどうかは無関係だという。

 クリーン氏らはまず、餌によってオスの大きさを操作した。栄養価の低い餌を与えられたオスは小さくなり、 栄養価の高い餌を食べたオスは大きくなった。

 次に、いずれかのオスとメスを交尾させ、産卵する場所がない状態をつくった。ハエの卵子は産卵するまで受 精しない。つまり、メスは子供をつくることなく複数のオスと交尾できるということだ。

◆優れたオスから優れた子供

 2週間後、クリーン氏らはメスを別のオスと交尾させ、今度は産卵できる環境を用意した。すると、まず小さな オスの精液を受け入れた後に大きなオスの子供を産んだ場合、子供は小さなオスに似ていた。逆の状況でも結果 は同じだった。

 シドニー大学で栄養生態生理学の研究を行うフィオナ・クリソルド(Fiona Clissold)氏は第三者の立場で、 「質の高いオスは子供も質が高い傾向にある」とコメントしている。「(この研究結果が)意味しているのは、 自分が質の高いオスでなければ、ほかのオスからメスを横取りすれば(つまり、より良い形質を子供に受け継げ ば)いいということだ」。

 クリーン氏らは500匹以上のハエを調べたが、どのように進化してこのような能力を手に入れたか、どのような 仕組みかはまだわかっていない。

 次なる課題は影響を及ぼしている化合物を特定すること、ほかの動物にも同じ原則が当てはまるかどうかを確 かめることだ。クリーン氏によれば、人の健康にも関係する可能性のある発見ではあるが、人で同様の研究を行 う手段はないという。

「信じられないような発見なので、“何によって引き起こされているか”を突き止めたい」とクリーン氏は話 す。「干し草の山で1本の針を探すような作業になるだろう。精液には何百もの化合物が含まれているから」。

Photograph by Russell Bonduriansky

文=Mollie Bloudoff-Indelicato

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