今夏、クラゲ大発生の理由は?

2014.08.26
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ミズクラゲの群れ。アメリカ、アラスカ州ケチカンで2008年に撮影。

Photograph by Chip Porter/AlaskaStock/Corbis
 太平洋岸北西部やイギリスでは最近、クラゲの大群が現れている。それ自体は珍しいことではないが、海のバランスが崩れている兆候かもしれないと、専門家は述べている。 2014年夏、太平洋岸北西部の砂浜には青いクラゲ、カツオノカンムリが大量に打ち上げられ、分解したセロファンのような死骸が残されている。アメリカ東海岸もこの問題と無縁ではない。メイン州の沖ではミズクラゲの群れが確認されている。イギリス南西部の沿岸でも巨大なバレル・ジェリーフィッシュ(学名Rhizostoma pulmo)が爆発的に増加している。

 どの地域もクラゲの大発生は今回が初めてではない。しかし、一部の科学者は近年、大発生の頻度が高まり、規模も拡大しているのではないかと疑い始めている。

 スタンフォード大学の無脊椎動物学者ジム・ワタナベ(Jim Watanabe)氏は、肥料などの化学薬品を含む農業排水がクラゲの好物である藻類やプランクトンの増殖を促していると分析する。クラゲを捕食する魚の乱獲も大発生の一因と考えられる。

 イギリス、サウサンプトン大学の海洋生物学者キャシー・ルーカス(Cathy Lucas)氏は電子メールで取材に応え、「クラゲの大発生には当然“豊作”の年と“不作”の年がある」とコメントしている。

「クラゲが多い年のことはよく覚えているものだ。海辺で過ごす休暇を台無しにされたり、ボートの上からいつもより多くのクラゲが見えたりしたのだろう。ただし、クラゲがいつもより少ない年があることも忘れてはならない」。

◆大発生の理由

 海流や風はクラゲの数に影響を及ぼす。ほぼすべてのクラゲは傘や触手を使って遊泳できるが、海の中を漂っていることもある。

 例えば、アメリカ、カリフォルニア州の沖から陸に向かって風が吹けば、カツオノカンムリは浜辺に打ち上げられる。

 これは見掛け上の大発生と呼ぶことができる。潮や風、海流の力でクラゲが群れになったのだ。もう1つは本当の意味での大発生で、交尾によって単純に個体数が増えた状態だ。

 カツオノカンムリの好物であるプランクトンにも豊作と不作の波がある。これも浜辺に打ち上げられるクラゲの数が年によって異なる一因だ。

 もう1つの要因は温度だ。イギリスでは2013年から2014年にかけて異常に暖かい冬だった。バレル・ジェリーフィッシュが急増しているのはそのためかもしれない。1年前の冬は異常に寒く、バレル・ジェリーフィッシュは激減していた。

◆これが未来の姿

 大発生の理由が何であれ、われわれはその状況に慣れるべきだと、海洋生物学者たちは口をそろえる。

 オレゴン大学でクラゲを研究しているケリー・サザーランド(Kelly Sutherland)氏は、「人口は指数関数的に増加している。しかも、40%以上の人が海から150キロ圏内で暮らしている」と述べる。

「海とのかかわりがどんどん大きくなっているのだから、クラゲの問題に気づき、問題を認識することも多くなるはずだ」。

Photograph by Chip Porter/AlaskaStock/Corbis

文=Carrie Arnold

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