希少なコミミイヌを撮影、ペルー

2014.07.03
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ペッカリーの死体に近寄り、カメラに気づいて顔を向けたコミミイヌ(2014年5月25日撮影の動画より)。

Image captured from video by Lary Reeves / Tambopata Research Center
 アマゾンの熱帯雨林に生息する動物のなかでも特に目撃情報の少ないコミミイヌ(学名:Atelocynus microtis)。その姿をビデオで撮影することに成功した。 コミミイヌはジャングルに生息するイヌ科の哺乳類で、大きさはキツネほど。めったに目にすることのできない希少な動物だ。アマゾンでは実際、野生のコミミイヌを見るよりも、ジャガーを目撃する確率のほうがはるかに高いという。

「コミミイヌは希少で、なかなか見ることができない」と獣医師で生態学者のレナータ・レイテ・ピットマン(Renata Leite Pitman)氏は話す。レイテ・ピットマン氏はデューク大学の研究者で、ナショナル ジオグラフィックの助成金受給者だ。アマゾン盆地にのみ生息するコミミイヌの調査を14年にわたって続けている。だが、これまでに捕獲して追跡用の首輪を装着したコミミイヌの数はわずか5頭に留まっているという。

「コミミイヌは非常に用心深く、ペットの犬とは全く違っている」とレイテ・ピットマン氏は言う。また濃い色の毛は、その姿を熱帯雨林のやぶにとけこませ、捕食者から見つかりにくくするのに役立っている。

 コミミイヌのビデオ撮影に成功したことは驚き以外の何物でもない。

 5月の終わり、保全生物学者でフロリダ大学の大学院生のラリー・リーブス(Lary Reeves)氏は、ブタに似たクチジロペッカリーの死体の近くにGoPro社製の自動撮影カメラを設置した。腐敗が進み、虫のたかったペッカリーの死体は、ペルー南東部の奥地にあるタンボパタ研究センター(Tambopata Research Center)近くの小道で見つけたものだ。かねてより聞いていた“トキイロコンドルの晩餐”を撮影しようと、リーブス氏は群がる虫や強烈な臭いを物ともせず、死体のすぐ近くにカメラを設置した。

 撮影した映像を確認していたときのことだ。濃い色をしたコミミイヌのしなやかな体が画面に現れたのを見て、リーブス氏は驚いた。

「コミミイヌが現れたのは、私達が立ち去って20分ほど経ったころのことだ」とリーブス氏は言う。「まさかこんなことがあるなんて」。

 だが、コミミイヌは長く留まることはなかった。ビデオには、コミミイヌが死体の匂いを嗅ぎ、不安げな様子でカメラを見た後、そそくさと退散する様子が映っている。このような行動はさほど珍しいことではないという。「コミミイヌはカメラを敬遠する」とレイテ・ピットマン氏は言う。

 レイテ・ピットマン氏のこれまでの経験から推測するに、コミミイヌは撮影装置の点滅する光や、そこに付着した人間の匂いを強く警戒するのではないかと考えられる。

 コミミイヌは希少な動物であることから、その行動、生息数、分布状況についてはあまりよく知られていない。しかしレイテ・ピットマン氏らは、森林破壊や餌となる動物の減少によって、コミミイヌの数は減少しつつあるのではないかと見ている。また、パルボウイルス感染症などさまざまな病気を引き起こす飼い犬の存在も影響しているようだ。

 それでも、「もしコミミイヌを見たいという人がいたら、タンボパタやロス・アミーゴス(ペルー南東部、マヌー国立公園の近く)に行きなさいと言うだろう」とレイテ・ピットマン氏は言う。「野生のコミミイヌを見ようと思ったら、これが最も可能性の高い方法だからだ」。

Image captured from video by Lary Reeves / Tambopata Research Center

文=Nadia Drake

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