イヌの脳、快感と飼い主の匂いがリンク

2014.03.27
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訓練を受けるサリ・シャーマンさんとイヌのモリー。マサチューセッツ州プリンストンの米国立身体障害者補 助犬教育施設(National Education for Assistance Dog Services)にて。

Photograph by Suzanne Kreiter, The Boston Globe via Getty
 飼い主の匂いはイヌの脳の快感に関連する部位を活性化することが、最新の脳画像研究で明らかになった。 研究リーダーのグレゴリー・バーンズ(Gregory Berns)氏はアトランタにあるエモリー大学の神経経済学者 で、彼によると飼い主の匂いを嗅いだイヌは、人間が愛する人の香水やコロンの匂いに対して反応するのとある 意味で同じように感じている可能性があるとのことだ。

 バーンズ氏は研究において、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験中じっとしているようイヌを訓練 し、人間の親友であるイヌの心の調査を可能にしている。MRIでは脳の画像を撮影するが、fMRIでは脳の神経細 胞の活動を測定する。

 人間とイヌとの結びつきには4万年もの歴史があるが、イヌは何を思って吠えたり、尾を振ったり、その他の 行動を取るのか、科学者たちはいまだにその解釈に苦労している。

「イヌが何を考えているのか、もしくは感じているのか、私たちは何も知らない。この問題をなんとかするた め、約3年前にイヌプロジェクトを開始した」とバーンズ氏は語る。

 バーンズ氏のチームは特に、報酬に関連する構造など、イヌの脳で人間の脳と似ている領域を研究している。

◆人間の匂い

 今回の新しい研究でバーンズ氏のチームは、5匹の介助犬やセラピー犬、バーンズ氏の飼いイヌ「キャリー」 を含む12匹のイヌに対してfMRIを実施し、生物的な匂いに対する反応を検証した。

 実験ではイヌにガーゼに付けた5種類の匂いを嗅がせた。親しい人間、よく知らない人間、同じ家に住むイ ヌ、よく知らないイヌ、実験を受けるイヌ自身の5種類だ。

 この実験で、イヌの尾状核というポジティブな期待に関連する脳の領域が、親しい人間の匂いによって最も強 く活性化することが分かった。

 この結果からは、単にイヌが親しい人間の匂いを嗅ぎ分けポジティブな期待を持つということだけではなく、 親しい人間の匂いはイヌの心にいつまでも残るということも示唆される。

 今回の脳スキャンでは、イヌは他の4種類の匂いに対して意味のある反応を見せなかった。ただし、親しいイ ヌの匂いは2位につけた。

◆良い介助犬を嗅ぎ分ける

 この研究は介助犬のような働く犬(使役犬)をより良く理解するためにも役立つかもしれないと、バーンズ氏 は指摘している。

 例えば将来的にfMRIの訓練を受けたイヌを使って手信号に注目した研究を行い、イヌの報酬反応が合図を出す 人によって変化するかどうかを調査してはどうか。これは、介助犬に関して言えば特に意味のある問題だ。バー ンズ氏が言うように、介助犬は「一人の主人が言うことに耳を傾ける必要がある」からだ。

 さらに、介助犬候補のイヌに対し、スキャンで脳反応の増強の度合いを調べ、その任務に最も適したイヌたち をピンポイントで見つけ出すこともできるかもしれない。介助犬の育成には高額な費用がかかるが、訓練を受け たイヌのうち実際に介助を必要とする人の元へ送られるのは30~40%に過ぎないという。

 総合的に見て、バーンズ氏はイヌが飼い主の匂いを嗅いだとき、快感に似た何かを感じているであろうと確信 している。

「批判する人は多く、彼らに対し動物が人間の感情と似た何かを感じていることを証明するのは常に難しいこと だ。私はイヌがそれを感じていると考えているが」。

 今回の研究結果は「Behavioural Processes」誌3月6日号で発表された。

Photograph by Suzanne Kreiter, The Boston Globe via Getty

文=Liz Langley

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