欧州最大の肉食恐竜を発見、ポルトガル

2014.03.07
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トルボサウルス・グルネイ(Torvosaurus gurneyi)の大きくて強い頭蓋骨。

PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHE HENDRICKX
ポルトガルで発見された新種の恐竜は大きく、そして乱暴者だったという新たな研究が発表された。 おそらくヨーロッパで発見された肉食恐竜の中で最も大型のトルボサウルス・グルネイ(Torvosaurus gurneyi)は、極めて強い捕食者だった。長さ10センチの刀のような歯と鋭い爪を備えた前腕で獲物を引き裂いたと思われる。

 体長10メートルのその獣は、およそ1億5千万年前(ジュラ紀後期)に、現在のスペイン、ポルトガル、アンドラ、そしてフランスの一部が属するイベリア半島を闊歩していた。

 ポルトガルにあるリスボン新大学博士課程の学生、クリストフ・ヘンドリックス(Christophe Hendrickx)氏が、同時期に北米のロッキー山脈地域に生息していた近縁種のトロボサウルス・タンネリ(Torvosaurus tanneri)のものと思われる骨を調査していた際、新種の巨大肉食恐竜を発見した。超大陸パンゲアの一部として大陸同士がつながっていた頃、恐竜は北米とヨーロッパの間を自由に行き来できたと考えられる。

 それらの骨はポルトガル中西部にある化石が豊富なロウリニャン層(Lourinha Formation)から発掘されたが、詳しい調査の結果、T・タンネリではないことが判明した。

 理由の一つとして、T・タンネリよりも上顎の歯が少なく、上顎と尾椎の形状が異なっていた。またそのほかの証拠から、ヘンドリックス氏と彼の監督者オクタビオ・マテウス(Octavio Mateus)氏は、それが新種であると特定した。

◆その時代のT・レックス

 恐竜イラストレーターのジェームス・ガーニー(James Gurney)氏にちなんで名づけられた体重4~5トンのT・グルネイは、メガロサウルス属と呼ばれる巨大な二足歩行肉食恐竜の一種であった。

 メガロサウルスについては、まだあまり分かっていない。それは、大型肉食恐竜が獲物となる恐竜よりもはるかに希少で、調査される化石の量が少ないためであると、ピッツバーグにあるカーネギー自然史博物館の古生物学者マット・ラマンナ(Matt Lamanna)氏は述べる。

 しかし、古生物学者たちはメガロサウルスがティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)にどことなく似ていると認識しており、両恐竜は羽の前駆体である薄い毛に覆われていたようだと、研究リーダーのヘンドリックス氏は説明する。

 T・グルネイは、T・レックスよりも全体的に小さいが、恐るべき爪を備えた筋肉質の前腕、太い脚、そして破壊的な一噛みを可能にする細長い頭蓋骨を持っていた。

 確かに、メリーランド大学の古脊椎動物学者トーマス・R・ホルツ・ジュニア(Thomas R. Holtz, Jr.)氏は、T・グルネイのことをスピードや不意打ちを使うより力ずくで獲物を仕留める“ビッグ・ブルーザー(乱暴者)捕食者”と呼ぶ。

 T・グルネイがヨーロッパ最大の肉食恐竜であったという筆者の主張に対して、専門家たちは注意を添える。

 ラマンナ氏は「そうかもしれない」と言うが、ヨーロッパには同程度に成長したかもしれない既に知られた肉食恐竜がいると説明した。

 ホルツ氏は電子メールで、「これは、ヨーロッパの歴史で“既に知られている”陸上の肉食恐竜の中では最も大きいものだが、“既に知られている”という限定を保つことは常に重要である」と付け加えた。

◆ジュラ紀のセレンゲティ

 しかし、なぜそれほど大きかったのか?

 ヘンドリックス氏は、T・グルネイのサイズが、同時期に生息していたステゴサウルスや長い首の竜脚類などの草食恐竜の数に関係していると考えている。

 こうした何種類かの獲物は、巨大肉食恐竜の生存を維持するために必要な食料を提供し、それぞれが環境の中で独自のニッチを持っていたと、3月5日付で発表された科学誌「PLOS ONE」の中でヘンドリックス氏は述べている。

 ホルツ氏は、このジュラ紀後期の生態系を今日のセレンゲティに例え、「大中小、数種類の肉食恐竜が隣り合わせで暮らしていた。それはちょうどセレンゲティでライオン、ブチハイエナ、ヒョウ、ハンティングドッグ、ジャッカルなどが一緒に暮らしているようなものだ」と説明した。

PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHE HENDRICKX

文=Christine Dell'Amore

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