そのマグロ、問題あり?

2014.02.21
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これから調理されるビンナガマグロ。サンフランシスコの寿司バーの厨房にて。

PHOTOGRAPH BY DAVID LIITTSCHWAGER, NATIONAL GEOGRAPHIC
 1950年、世界のマグロ漁獲量は推計60万トンだったが、年間漁獲量は上昇を続け、現在では660万トン以上にもなっている。今やマグロは世界的なグルメ食材となり、需要が急増しているのだ。 マグロブームがきっかけで、世界の漁業問題、海洋の状況、最上位捕食者を消費することによる健康への影響など、多くの懸念が噴出している。

 どのようなマグロを買えばよいのかということになると、多くの相反する要素を含むため、問題は複雑だ。持続可能性の問題を念頭に選ぶのと同時に、健康上の懸念や料理としてのニーズも考えなければならない。

 まず知っておくべきことは、私たちが「マグロ」とか「ツナ」と呼んでいるものには、実際には何種類もの魚が含まれていることだ。どの種類も魚ブームの影響で人気が高まっているが、その中には劇的に個体数が減少しているものもある。

 例えばクロマグロは、乱獲によって繁殖スピードが漁獲量に追いつかなくなっている。持続可能性を気にかけるなら、クロマグロは食べるべきではない。

 持続可能性には漁獲の方法も影響する。延縄(はえなわ)漁は特に、餌を付けた3000本の針が付いた80キロ長もの縄を使用するため、壊滅的な影響を与えうる。針は100〜150メートルの深さにぶら下げられるが、この針には目的のマグロ以外にも、絶滅危惧種のウミガメを含む80種以上の生物がかかり、漁船が縄を引き上げて回収する前に死んでしまうことも度々ある。

 巨大なマグロを追い求めるには、それを食べる人たちの健康上の問題もついて回る。クロマグロのような大型のマグロは食物連鎖の上位にいるため、マグロの餌と、さらにその餌の餌に含まれていた水銀を全部取り込んでしまう。特に妊婦や授乳中の母親、小さな子どもは、魚を食べることによる利益と水銀による害とのバランスをよく考える必要がある。わかりやすい一般則として、大きい魚、年をとった魚ほどリスクは大きい。

 一番良いのは、スーパーやレストランに出かける前によく調べておくことだ。優れたガイドでは、マグロの種類、漁獲地、世界各地で異なる漁獲装置について概説されている。環境と健康にとって一番良い選択肢を提示してくれるものもあるだろう。

◆ツナ缶の場合

「ライト」と書いてあるツナ缶は、実際にはカツオである場合がほとんどだ。カツオは有り余るほどいるので、持続可能性については問題ない。しかも安価だ。

 体は小さく早く成熟する魚で、食物連鎖の比較的下位にあるので、魚肉中の水銀濃度も低い。ただカツオ缶のマイナス面は、身が崩れやすく、味もいかにも魚っぽくなりがちなことだ。

 ビンナガマグロなら味もマイルドで、形もしっかりした塊になる。しかしビンナガマグロは、現在ではその多くが延縄漁で捕獲されているので、持続可能性や水銀含有量が問題になるかもしれない。

◆レストランでは

 キハダマグロは引き締まった食感とマイルドな風味を持ち、レストランメニューでも度々登場する。

 キハダマグロも現在では乱獲によって個体数が減少しているので、持続可能性の視点から見て好ましい選択肢は、一本釣りのものに限られる。水銀の問題も、延縄漁で捕獲されたものに関しては懸念がある。

◆寿司店では

 メニューを見ても、どの種類のマグロが出てくるのか大した手がかりがなく、ただ「まぐろ」とあるだけかもしれない。

 正統派の「とろ」は、クロマグロの脂の乗った腹身を使用する。クロマグロは近年では稀少なため価格が高騰している。

 安く出回っているのはメバチマグロあたりだろう。持続可能性の観点から言えば、一般的にはメバチマグロの方が悪くない選択肢だ。繁殖や成熟にかかる時間が短く、個体数が減少している集団もあるものの、一部のマグロのように世界的に壊滅的な打撃を受けているというほどではないからだ。

 しかしメバチマグロにもマイナス面がある。成長すると180キロ以上もの大きさになるので、漁獲地や漁獲方法によっては水銀の懸念があるかもしれない。メバチマグロでも一本釣りの方が若い個体になる傾向があるので、水銀濃度は低くなるだろう。

PHOTOGRAPH BY DAVID LIITTSCHWAGER, NATIONAL GEOGRAPHIC

文=A. R. Williams

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