アステカの犬だけの墓を発見、メキシコ

2014.02.19
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メキシコシティで見つかったアステカ時代の犬の骨(1月17日)。保存状態は良好だが、犬の骨だけの墓は前 例がないという。

PHOTOGRAPH BY MELITON TAPIA, INAH
 メキシコの首都メキシコシティの考古学者チームが、古代アステカの首都テノチティトランの遺跡で12匹分の犬の骨を発見した。500年以上前に埋葬されたとみられ、物議を醸している。 ただの犬のお墓なら、これほど注目を集めなかっただろう。しかし、メキシコ国立人類学歴史学研究所 (INAH)が先週公開したレポートによると、建築物や人間の墓所との関わりがなく、まとまった数の遺骨だけが 納められたケースは初めてだという。

 アステカの神話で象徴的な役割を担っている犬は、死後も飼い主に仕えると信じられている。死者の魂を護衛 し、冥府の最下層であるミクトランへと誘うという。死後の世界と密接な関わりがあるショロトルという神も、 絵画などでは犬の頭を持っている。

 テノチティトランの墓所に神話的象徴が託されていたのかはわかっていない。発掘チームは、犬の新たな位置 付けをアステカ文明の中心地で探る手掛かりになると期待している。

◆ペットの墓

 テノチティトランはテスココ湖の島に建設されたメソアメリカ最大の都市だが、1521年にスペイン人によって 征服され完全に破壊された。現在、湖は埋め立てによってほぼ消失しており、その上にはメキシコシティが広が っている。発掘チームは、首都北西部、アスカポツァルコのマンションの地下約1.3~1.7メートルの地点で、2 メートル四方の埋葬跡を発見。

 遺骨はほぼ全身の部位が残っており、保存状態も良好だった。犬以外の骨は無く、前例がない埋葬方式にチー ムは驚いたという。

 体高はどれも中型犬程度。年齢にはばらつきがあるが、歯もほとんど残っていた。チワワの祖先とみられるテ チチにしては小柄で、成犬のメキシカン・ヘアレス・ドッグのように小臼歯が抜けているわけでもない。メキシ コ原産の犬種ではなく、どこにでもいる雑種とみられている。

 近隣の発掘調査から「Aztec III」様式の陶器が出土しており、遺骨の年代は1350~1520年ごろと推定されて いる。

◆犬を食べる習慣も

 古代アステカ文明の当時、アスカポツァルコはテスココ湖の西岸に面していた。同水域は現在は干上がってお り、かつての湖底はビルや道路で埋め尽くされている。

 発掘チームの考えでは、住民のアステカ人は洪水の侵入を防ぐため、日常のゴミを湖の沿岸部に捨てて土嚢代 わりに積み重ねていたという。現場からは、陶器や骨で作った針、黒曜石のナイフ、人や犬の骨で作った楽器、 彫刻が施されたシカの骨のほか、食糧とみられる七面鳥や犬の骨も見つかっている。

 確かに当時の飼い犬は、アステカ人の胃袋に収まったケースが多かったという。 考古学者チームは今後も発掘調査を進める計画だ。骨に疾患や奇形などの痕跡が見つかれば、1カ所にまとめて 埋葬された原因も突き止められるかもしれない。

PHOTOGRAPH BY MELITON TAPIA, INAH

文=A. R. Williams

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