最古の魚竜の胎児、陸上出産の証拠?

2014.02.13
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
チャオフサウルスの化石。母親の体内(下図オレンジ色の個所)と骨盤の間(黄色)に1頭ずつ胎児がいる。

PHOTOGRAPH AND ILLUSTRATION BY RYOSUKE MOTANI, UC DAVIS
 中生代の海生爬虫類の胎児が中国で見つかった。史上最古のもので、これまでの記録を1000万年更新するという。 発見されたのは、中生代(2億5200万年~6600万年前)にあたる2億4800万年前の魚竜の化石。母親の体内(図中オレンジの箇所)と骨盤の間(黄色)に、それぞれ1頭ずつ胎児がいる。さらにもう1頭が近くで見つかっており、この子どもは死産だったとみられる。母親も難産の途中で死んだと考えられている。

 この細長い、ウナギのような魚竜はチャオフサウルス属の仲間で、これまで確認されている中では、その最古の種だ。

 驚くべきは、化石の年代の古さだけではなく、“海の怪物”と称される魚竜が、陸上ではなく水中で出産していたという説が、この発見によって覆されたことだ。

 研究チームがこの結論に達したのは、胎児が頭から先に生まれることを化石が示していたためだ。この特徴は、陸上で出産する動物にしかみられない。クジラやマナティーなど、ほとんどの海生動物の子どもは尾から生まれる。

「非常に驚いた。これを見たとき、最初は自分の目を疑った」と、カリフォルニア大学デービス校に属する先史時代の海生爬虫類の専門家で、今回の研究を指揮した藻谷亮介氏は述べる。

◆陸上で出産

 一般に、爬虫類は卵を産み、哺乳類は子どもを産む。前者の戦略を卵生、後者を胎生という。しかし今回の研究により、生殖の進化過程において、爬虫類は卵生に落ち着くまでに2つの戦略の間を行ったり来たりしたことが明らかになった。爬虫類における胎生は、これまでに100回以上出現しているとみられるが、古代の海生爬虫類の出産についてはわかっていない部分が多い。

 魚竜は最初陸上に出現し、のちに水生となったため、チャオフサウルスなど、水生となった最初の種の一部は、祖先と同じように陸上で出産していたとみられる。

 したがって、「胎生はこれまで考えられていたように水中で進化したわけではなかった」と藻谷氏は述べる。「我々の推測は間違っていた」。

 今回の研究成果は、米オンライン科学誌「PLOS ONE」に2月12日付で発表された。

PHOTOGRAPH AND ILLUSTRATION BY RYOSUKE MOTANI, UC DAVIS

文=Christine Dell'Amore

  • このエントリーをはてなブックマークに追加