アマゾンのシルクヘンジ、正体が判明

2014.01.10
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科学者を魅了する奇妙なクモの巣状の構造体。

Photograph by Jeff Cremer, Solent News/Rex Features via AP
 6カ月前、ペルー領アマゾンの熱帯雨林で謎のフェンスのような構造体が発見され、シルクヘンジ(Silkhenge)というニックネームが付けられた。タンボパタ研究センターの研究者が数日間観察したが、どんな動物(もしくは菌類)がそれを作るのかはわからなかった。 ジョージア工科大のトロイ・アレキサンダー(Troy Alexander)氏が最初にこの発見について発表する際、彼が提示すべきものは興味深い一連の写真だけだった。どんなアマゾンの生き物がこの車輪のスポークのような外壁を持つ環状の隠れ家を作ることができたのか、彼は見当もつかなかったのだ。

 アレキサンダー氏は昆虫学者数人に意見を聞き、これを作ったのは篩板(しばん)という出糸突起を持つタイプのクモがではないかと考えた。このタイプのクモは、複雑な構造の巣を作ることが知られている。

 このフェンスのニュースが最初に掲載された際ブログの読者からは、これを作った生物が何であるか、また新種の場合どんな種名を付けるべきかといった意見が殺到した。フェンスを作ったのはクモだというアレキサンダー氏の仮説を支持する人が多かったが、仮説に納得せず菌類やイモムシが作ったのだと考える人もいた。

◆森の建築家

 12月、そのクモの最初の発見に貢献したのはタンボパタの科学者フィル・トレス(Phil Torres)氏と、同行したフロリダ大学の昆虫学者ラリー・リーブス(Lary Reeves)、ジーナ・ヒル(Geena Hill)、写真家のジェフ・クリーマー(Jeff Cremer)の各氏だ。彼らは樹の側面や防水シートに作られた小さいフェンスを最初に見つけた小島を再訪すると、一週間その区域を監視し、小さな構造体を間近でじっくり観察し記録を取った。

 その結果、200メートルの道沿いに45個のフェンスを確認し、一週間にわたる監視の甲斐あって、その内3個のフェンスから子グモが孵化するのを目撃した。

 この子グモがどの種に属すのか、既知種か否かも含めまだ特定されていないが、この構造体が興味深いのにはいくつかの理由があるという。

 トレス氏はブログでこう述べている。「一つには、クモが卵を産んで放置するというのは一般的ではない。クモは通常、糸で包んだ卵嚢(らんのう)を自分の巣の中で保護するものだ。もっと奇妙なのは、構造体1個の中に卵は1個しか入っていないらしいということだ。1卵嚢あたり1個しか産卵しないクモというのは、我々の知る限り他にいない。近くで成体のクモを何匹か見かけたので、おそらくそれが親なのだと思うが、実際に構造体を作っているところはまだ観察できていない。誰がどのようにこれを建築するのか、まだ謎が残っている」。

◆餌になるダニ

 この区域にはクモのほかにも大量のダニが見つかった。昆虫学者が子グモを見つけるまでは、フェンスを作った犯人はこのダニかもしれないと疑われていた。

 彼らは仮説として、中央の卵を他の捕食性昆虫から守るのがこのフェンスの役割かもしれないが、そうでなければフェンスにはダニやアリなどの昆虫を誘引する化学物質が含まれていて、孵化したばかりのクモが簡単に最初の食事にありつけるようにしているのではないかと考えている。

 研究すべきことはまだたくさん残っているが、シルクヘンジを作った犯人がついに見つかった。

Photograph by Jeff Cremer, Solent News/Rex Features via AP

文=Carrie Arnold

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