女性器切除、根絶の日は来るか?

2013.07.29
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女性器切除を受けた若い女性の髪をなでる女性。シエラレオネで。

Photograph by Jan Grarup/laif/Redux
 エジプトでは、15~49歳の女性の91%が女性器切除を受けている。女性器切除とは、外性器の一部またはすべてを除去する行為だ。ソマリアでは98%の女性が受けている。アフリカと中東で女性器切除を施された女性および女児の数は1億2500万人以上にのぼり、今後10年でさらに3000万人の女児が切除を受ける可能性がある。 しかし、ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)が米国時間7月22日に発表した報告書によると、女性器切除(女子割礼)の慣習は徐々に減少しつつあるという。若い女性は上の世代の女性に比べて女性器切除を受けた人の割合が低く、また自分の娘に受けさせたいと考えている人も少ない。

 女性器切除についてさらに詳しく知るため、ナショナル ジオグラフィックでは女性の人権擁護団体「イクオリティ・ナウ」のアドボカシーディレクターであり、女性器切除の廃止運動によって大英帝国勲章を受勲した、ガーナのエフア・ドルケヌー(Efua Dorkenoo)氏に話を聞いた。

◆あなたは1980年代から女性器切除の問題に取り組んでいます。そもそもこの問題に関わるようになったきっかけは?

 イギリスで助産師として働いていたとき、最も徹底的なタイプの女性器切除を施された女性のお産に立ち会いました。その女性はさまざまな合併症を起こしました。

◆最も徹底的な、というのはつまり、クリトリスが切除され、大陰唇が縫い合わされているということでしょうか?

 そうです。

◆女性は助かったのですか?

 はい。ですが、その一件は私に、アフリカ人としてこの慣習を理解しようとするきっかけを与えてくれました。

◆女性器切除は、それ自体が何か健康上の問題を引き起こしますか?

 ほとんどの場合、女性器切除は伝統的な施術者の手で、粗末な道具を使って麻酔なしに行われます。切除を受けた女児は傷の痛みに苦しみ、感染症や出血を起こす場合もあり、ときとして死に至ります。切除によって死亡する女児の数ははっきりしません。女性器切除は死亡記録が残らない田舎のほうで行われることが多いのです。しかし家族と話をすると、たいてい身内に1人くらい死者がいると話してくれます。

 生き残った女児たちもその後、性交時の痛みや無感覚、出産時の問題など、長期にわたる合併症に苦しみます。嚢胞やケロイドができるほか、精神的合併症も起こします。精神的合併症は見過ごされがちですが、非常によく起こっている問題です。

◆この慣習はいつから行われているのですか?

 はっきりとはわかりませんが、一部地域では3000年前までさかのぼります。非常に長い間、地域に根付いているのです。

◆自分の娘に女性器切除を受けさせる理由はなんですか?

 最も多く挙げられる理由の1つが、女性の処女性や純潔、貞節を守ることです。女性器切除を行う一部のイスラム教徒は、宗教上の義務だと主張していますが、クルアーン(コーラン)にそのような記述はなく、世界のイスラム教徒のほとんどは女性器切除を行っていません(ただし、キリスト教徒や土着宗教を信じる人々の間にもこの慣習は存在します)。

 そのほか、重要なイニシエーションの儀式として、大人の女性になるために行うという考えもあります。これはシエラレオネやリベリアなど、西アフリカの国々で非常に多くみられます。

 またエジプトのように、審美的なことも理由とされる地域もあります。外性器は汚く醜いため、取り除く必要があるというのです。クリトリスを取ってしまわないと、伸びてきて男性のペニスのようになると考えられている地域もあります。

 最も徹底的な切除、つまり、ほぼすべてを取り去り、その場所を閉じてしまうというのは、スーダン、ソマリア、ジブチ、エチオピアの一部、マリの一部などで行われていますが、その最大の理由は、女児が結婚するまで誰にも触れられないようにするためです。結婚したら性交のためにそこを広げなければなりません。

◆ユニセフの報告書によって、ケニア、ブルキナファソ、タンザニアなど一部の国では女性器切除が大幅に減少していることが明らかになりました。これらの国ではどのような廃止への取り組みがなされていますか?

 例えばブルキナファソでは、政府がリーダーシップをとり、これは女性の権利、子どもの権利の問題だとはっきり認めています。彼らはこの問題に多角的に取り組んでいて、教育、保護、さらには訴追などの手段を講じています。女性器切除に関与したとしてかなりの人数が刑務所に送られています。

 女性器切除が減少しつつある地域では、女性への暴力という枠組みでこの問題に取り組んでいます。これはジェンダー間のパワーコントロールの問題であり、単純に教育だけでやめさせられるものではありません。もし実行すれば、好ましくない結果を招くと思わせる必要があります。人々の良心だけを当てにはできません。

◆大々的な廃止プログラムを展開しているセネガルでは、女性器切除は減少していないようですが。

 国連の機関が多額のお金を投じたのだから、数字は大幅に低下するはずだと考えがちですが、現実はそうなっていません。地域への働きかけや教育が女性器切除をやめさせるまでに至っていないことを示しています。

◆過去30年間この問題に取り組んできて、未来はどの程度明るいとお考えですか?

 最初のころは、この問題について議論することさえできませんでした。今では特に若い世代の間で意識が高まっていて、それは本当に、本当にうれしいことです。

Photograph by Jan Grarup/laif/Redux

文=Rachel Hartigan Shea

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