絶滅回避へ動き、パナマの超小型カエル

2013.03.29
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
成体になったばかりのリモサ・ハーレクイン・フロッグは、パナマの1バルボア(1米ドルに相当)硬貨の上に乗るほどの大きさだ。

Photograph courtesy Brian Gratwicke, Smithsonian Conservation Biology Institute
 リモサ・ハーレクイン・フロッグ(学名:Atelopus limosus)をはじめ、絶滅の危機にある両生類にもわずかながら希望が出てきた。パナマ両生類救済・保全プロジェクトやスミソニアン保全生物学研究所(SCBI)などの自然保護団体の協力によって、飼育環境下での繁殖プログラムが進行しているのだ。 この飼育繁殖プログラムでは最初の試みとして、1組のつがいから9匹のリモサ・ハーレクイン・フロッグの養育に成功した。また2組目のつがいの産んだ卵から、すでに数百匹のオタマジャクシが孵化している。

 リモサ・ハーレクイン・フロッグは、超小型(成体になったばかりの個体で体長1センチ足らず)の両生類で、現在飼育されているのは山形の縞模様が入った亜種だ。

「ここで育ったカエルたちは、この種にとって最後の希望だ」と、SCBI所属の生物学者ブライアン・グラトウィック(Brian Gratwicke)氏は声明の中で述べている。

 今回の取り組みは、パナマで優先的に保護が必要な複数種のカエルを対象に、個体数の回復を目指して行われているプロジェクトの一環だ。ほかにもカンムリアマガエル(学名:Anotheca spinosa)、ツノフクロアマガエル(Gastrotheca cornuta)などが保護の対象となっている。

◆カエルの皮膚をむしばむツボカビ

 国際自然保護連合(ICUN)では、リモサ・ハーレクイン・フロッグの種としての存続を脅かす主な要因として、森林破壊、水質汚染、堆積作用による小川の消失を挙げている。しかし両生類に感染するツボカビ症も懸念材料だ。

 この感染症は、カエルツボカビ(学名:Batrachochytrium dendrobatidis)によって引き起こされ、両生類の皮膚に含まれるタンパク質、ケラチンを攻撃する。ツボカビが両生類を死に至らしめるメカニズムはまだはっきりしない。だが複数の研究で、カエルの皮膚呼吸をツボカビが阻害することが判明している。

 カエルは皮膚から水と酸素を摂取するため、この働きを阻害するような疾病は脅威となる。一部の研究では、ラテンアメリカにおけるヤセヒキガエル属のハーレクイン・フロッグの絶滅のうち、実に3分の1についてツボカビ症の関与を指摘している。

 しかし、リモサ・ハーレクイン・フロッグなど、危機に瀕する両生類たちに希望を与えるニュースもある。

 オーストラリアに生息する3種のカエル(学名:Litoria lesueuri、Litoria serrata、Litoria nannotis)について、体温を高めることでツボカビへの感染率が下がったとする研究成果が最近発表されたのだ。

 世界中に蔓延するツボカビ感染のパターンも、カエルの体温との関係で解き明かせるかもしれないと、今回の研究論文では述べている。さらに生息環境を人間がコントロールし、より暖かい気温のもとでカエルが暮らせるようにすれば、この感染症との戦いにもプラスになるとも考えられる。

◆絶滅回避に向けた繁殖への試み

 一方、パナマ中央部の町、ガンボアではカエルの繁殖に向けた活動が行われている。こうした取り組みは、絶滅に備えた一種の保険として、絶滅危惧種とされるカエルの個体数を増加させるために大きな意味を持つものだ。

 保全生物学を専門とするホルヘ・ゲレル(Jorge Guerrel)氏は、スミソニアン熱帯研究所と共同で、リモサ・ハーレクイン・フロッグのメスが産卵に使えるよう、水面下に小さな穴をいくつか設けた。

 また、摂氏22~24度の水温で、酸素を多く含んだ水のゆっくりした流れがあることも、産卵には必須条件だ。

 パナマ両生類救済・保全プロジェクトでは現在、リモサ・ハーレクイン・フロッグの成体65匹を飼育している。内訳は山形模様の縞が入っている亜種が55匹、無地の亜種が10匹だ。

 この研究は、3月21日付で「Scientific Reports」誌オンライン版に掲載された。

Photograph courtesy Brian Gratwicke, Smithsonian Conservation Biology Institute

文=Jane J. Lee

  • このエントリーをはてなブックマークに追加