絶滅した動物は復活させるべきか?

2013.03.07
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オーストラリアのタスマニア島にかつて生息したタスマニアタイガー(フクロオオカミ)(1930年頃に撮影)。クローン技術で復活させるべきか、議論の的になっている。

Photograph from Popperfoto/Getty Images
 2013年3月15日、アメリカ、ワシントンD.C.のナショナル ジオグラフィック本社で、絶滅動物の復活に関する会議が開催される。科学者や自然保護活動家を集めた同様の会合が昨年も催されたが、今回はその規模拡大版で、一般にも公開される。 絶滅種の復活という発想は、映画『ジュラシック・パーク』で一般に認知されたが、アイデア自体は昔から存在した。しかし、復活は実際に可能なのだろうか。その場合は実行に移すべきなのだろうか。

 最初の疑問には比較的簡単に答えられそうだ。クローン技術が進化した現在、DNA情報を読み書きする新しい手法も確立されている。保存された個体からDNAを採取できれば、遺伝的に類似した動物を作り上げることはそれほど難しくない。

◆ゾウからマンモスが生まれる

 ただし、「復活」の定義が難しい。例えば実際に復活プロジェクトが進行中のリョコウバトは、遺伝子組み換え操作で復活させたとしても、それは150年前の北米に無数に生息した種と同じなのだろうか。似て非なる「代用品」という意見もある。

 マンモスの場合も同じだ。ゾウの「代理母」からマンモスが生まれ、数分間でも生き延びれば成功とみなされるのだろうか。性的に成熟し、交尾を経て出産した時点で復活となるのだろうか。あるいは、個体数を増やし、群れとして自然の生息地に再導入できなければよみがえったとは言えないのかもしれない。ただし、その場合も、1万年前に絶滅した動物の「自然の生息地」を定義するのが難しい。

 ここでは便宜的に、「オリジナルとおおよそ同じ遺伝情報を持つ健康な個体を生み出せるようになったとき」を復活とすることにしよう。可能だとしても2番目の疑問は残る。果たして、絶滅動物は復活させるべきなのだろうか。

◆種の復活

「可能ならやるべき」、「復活させる義務がある」というのが賛成派の見解だ。前者の意見の根底には、メリットやデメリットが不透明の段階で、科学の進歩を妨げるべきではないという考え方がある。後者は、人間の身勝手で絶滅に追い込んでしまったという過去の反省点に立脚している。

 一部の自然保護活動家は、「自然環境に再導入したときの影響が不透明」、「既に絶滅危惧種が多く存在する」の2点を挙げて反対を主張している。保護を必要としている多くの動物たちをないがしろにして、絶滅種を復活させる必要はないというのだ。

 理由など要らないという考え方もある。賛成派の中には科学的に支持する人もいれば、モラル面から支持する人もいる。しかし、どちらも最終的には、「それに面白そうだし」と結論付けるのが普通だ。具体的なメリットとは関係なく、絶滅種の復活は誰しも胸躍る話であることは間違いない。それは恐らく、過去に生息した素晴らしい動物たちに出会い、タイムスリップ感覚を味わえるからだろう。あるいは、過去の事実を塗り替えるスリルかもしれない。

Photograph from Popperfoto/Getty Images

文=Jamie Shreeve

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