ボルネオゾウ14頭が謎の死

2013.01.01
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マレーシア、グヌン・ララ森林保護区(Gunung Rara Forest Reserve)で、ボルネオゾウの死骸を調べる野生生物保護局の職員(1月23日)。

Photograph from Sabah Wildlife Department/Reuters
 マレーシア、ボルネオ島北東端にあるグヌン・ララ森林保護区(Gunung Rara Forest Reserve)で先月、ボルネオゾウ14頭の死骸が相次いで発見された。野生動物保護当局は、世界自然保護基金(WWF)などの協力を得て死因を調べている。 今回の大量死で、絶滅危惧種ボルネオゾウの脆弱性が改めて浮上した。WWFアメリカでアジア種を担当する責任者バーニー・ロング(Barney Long)氏によると、過去の正確な生息数は不明だが、現在は2000頭を下回っている。

「死因はまだ不明だが、この森林一帯は新しい農園の開墾のために伐採されていた。人間とゾウの衝突事件の急増は、土地が開ければよくあることだ」と、ロング氏は言う。

 例えば隣のスマトラ島の農地では昨年、毒入りの果実が仕掛けられ、付近のスマトラゾウの群れが命を落とす事件が相次いだ。地元民は、畑を荒らす「害獣」と見なしていたという。ネズミ駆除剤など、地元で入手できる薬物を利用したらしい。

「14頭も同様の犠牲者だろう。もちろん検死結果を待つ必要があるが」とロング氏は推測する。

 マレーシア政府は現在、検死作業を進めている。結果の公表時期については明らかにされていない。

◆生息数の減少

 ボルネオゾウは、アジア大陸やスマトラ本島の近縁種から約30万年前に分化し、森林生活に適応するため小型化した。

 WWFのWebサイトでは、ベビーフェイス、大きな耳、丸いお腹の特徴を挙げて、「ウォルト・ディズニーでも、こんなにキュートなキャラクターは生み出せないだろう」と書かれている。

 しかし、現実の世界では徐々にその数を減らしている。森林が広範囲に伐採され、パーム油のプランテーションへの転換が進んでいるためだ。生息地が縮小するにつれて、人間との距離も近くなっているのだ。

 WWFが実施した首輪型発信機による生態調査では、ボルネオゾウが十分なエサや水、ミネラルを得るには約300平方キロの森林が必要と判明した。

「伐採した後も、ゾウはエサや水を求めてそこに戻ってきてしまう」とロング氏は言う。「農園になっていれば、人間との衝突は避けられない」。

◆保護の必要性

 死因が何であろうと今回の事件は、WWFがマレーシア政府に保護態勢の強化を求めるきっかけとなった。

「今度こそ法律で厳重に守る必要がある。専門家の勧告が十分活かされていたとはとても言えない」と、WWFマレーシアの最高責任者ディオニシウス・S・K・シャルマ(Dionysius S.K. Sharma)氏は声明で述べている。狩猟は既に禁止されているが、生息地の伐採も規制する必要がある。

 さらに、地元の野生動物保護局の予算を増やし、違法行為の監視を強化するべきだと同氏は指摘する。「パトロールの回数を増やし、範囲を広げれば、大量死は予防できる」。

 今回の事件がボルネオゾウの絶滅に直結するわけではないが、WWFアメリカのロング氏は、「生態を圧迫していることは間違いない。死因が毒殺であれば尚更だ。たった1人でも、いとも簡単に多数のゾウの命を奪えると思うとゾッとする」と語った。

Photograph from Sabah Wildlife Department/Reuters

文=Christine Dell'Amore

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