「父の日」100周年:起源と現在

2010.06.20
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アメリカ、マサチューセッツ州のホームレス施設で父の日を息子と過ごすイラク戦争の退役軍人(2008年撮影)。

Photograph by Steven Senne, AP
 2010年6月20日、父の日が100周年を迎えた。世界中のお父さん達は、息子や娘がこれを機会に財布のひもをゆるめてくれるよう期待している。世界経済の緩やかな回復に伴い、グリーティングカードやネクタイ、大工道具、衣服など、父の日向けプレゼントの消費額は2009年比で約4%増加すると予測されている。一方、100年前の当時は、非常につつましく、商業的要素のかけらもない清々しい感謝の一日であった。 6月の第3日曜日がアメリカで公式な国の記念日となったのは1972年で、リチャード・ニクソン大統領が宣言した。しかし、父の日の起源は20世紀初頭のワシントン州での出来事までさかのぼる。

 1909年、ワシントン州スポケーンに住むソノラ・スマート・ドッド氏は、教会で母の日の説教を聞きながら、自分を含め6人の子を男手一つで育ててくれた父にも感謝の日があって良いのではないか考えた。ドット氏が地元の教会に働きかけた結果、翌年の6月に初めて「父の日」を祝う式典が開催され、各地へと広まっていった。

 アメリカにあるマサチューセッツ大学アマースト校の心理学者で、父の日をめぐる現象を研究しているニコール・ギルバート・コート氏は次のように話す。「1994年、アメリカのビル・クリントン大統領は、男女区別のない“親の日(Parent's Day)”を7月の最終日曜日に制定した。しかし、この“親の日”は人々が期待するような記念日には成長しなかった。その理由は簡単で、母の日と父の日が既に商業的な記念日として確立されていたからだ」。

◆消費額の少ない父の日

 アメリカのワシントンD.C.に拠点を置く業界団体、全米小売業協会(NRF)によると、父親たちが今年受け取るプレゼントの額は昨年より増える見込みだが、それでも母親たちに比べればかなり少ないという。例えば2009年の場合、父の日向けに1人が消費する額は平均90.89ドル(約8200円)だったのに対し、母親には123.89ドル(約1万1200円)相当のプレゼントが贈られた。

 NRFによると、父親はプレゼントにあまりこだわらず、仕事用のシンプルなネクタイや新しいフライ返しなどで十分に喜ぶのだという。

 他方、母の日のプレゼントは宝石や花、温泉旅行、レストランでのディナーなど、父の日に比べて豪華になる傾向がある。

◆父の日に簡単に喜ぶ父親

「それでも、アメリカ中の父親がプレゼントの包装紙をはがし、箱を開け、新しいネクタイを眺めて笑顔になるのは、きっと心から喜んでいるからだろう」とギルバート・コート氏は話す。ネクタイはいまでも最も人気のある父の日向けプレゼントだ。

 同氏の調査によると、注目度は母の日に比べて低いが、父親の方が満足度が高いという。その理由として、母親は料理や掃除などの家事から解放してもらえる日を期待しているが、実際にはいつもと変わらないという状況があるようだ。「それに比べて父親は元から期待のハードルが低く、いまの父の日のあり方に満足している。また、普段は家庭内平等を志向している場合でも、両親を別々に祝うことによってステレオタイプの役割分担が一層強まっている面もある」。

◆父の日のカード事情

 最も売れる父の日向けプレゼントは「父の日カード」だ。もらえるのはこれだけという父親たちも多い。大手グリーティングカード会社のホールマーク社によると、父の日にやり取りされるカードは、総計9300万枚と推定されており、クリスマス(18億枚)、バレンタインデー(1億5200万枚)、母の日(1億4100万枚)に次いで年間第4位となっている。

 ホールマーク社の広報担当であるデイドラ・マイズ氏は、「父の日カードの50%は父親に、15%は夫に贈るために購入される。残りは“その他”で、祖父や息子、兄弟、おじなど、さまざまな人に届けられる」と説明する。贈り手にとって父親に当たる人が対象となっているようだ。

「父の日にはカードがたくさん贈られるが、当社はこの記念日の起源には一切関係していない」とマイズ氏は話す。ホールマーク社が父の日カードの印刷を始めたのは、1920年代に入ってからのことである。

Photograph by Steven Senne, AP

文=John Roach

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