• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

過激派組織「イスラム国」の襲撃を逃れ、トルコ国境に押し寄せるシリアの人々。人類の旅路をたどる第4回は、中東で難民の現実を目の当たりにする。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人類の旅路 戦火を逃れ 国境を越えるシリア難民

過激派組織「イスラム国」の襲撃を逃れ、トルコ国境に押し寄せるシリアの人々。人類の旅路をたどる第4回は、中東で難民の現実を目の当たりにする。

文=ポール・サロペック/写真=ジョン・スタンマイヤー

 自分の住む町が、もし武装勢力に襲撃されたらどうするか。
 あなたは自分の命を守るために、とにかく手っ取り早い方法で逃げようとするだろう。自分の車や隣人のトラックで、あるいはバスを盗んで走りだすかもしれない。だがいずれは国境にぶつかる。そこからは歩きだ。検問所では、身分証の提示を求められるだろう。え、身分を証明するものが何もない?(子どもの手を引くのに必死で、それどころではなかったのだ)―事情がどうであれ、車を降りて待つよう命じられる。身分証があろうとなかろうと、歩きという最低限の移動手段しかないあなたは、もう紛れもなく難民だ。

 あなたはそれまでの人生と決別し、別の人生を歩みだす。切断された鉄条網の隙間を通り抜けたら、国を失い、立場が弱く、誰かに頼る、目立たない存在になる。難民になるとは、そういうことだ。

「イスラム国」の勢力拡大で急増するシリア難民

 2014年9月の終わり、トルコ国境の村ムルシトピナルの国境検問所周辺に、何万人ものシリア難民が押し寄せた。過激派組織「イスラム国(IS=Islamic State)」の銃弾とナイフから逃れてきたクルド人だ。人々は乗用車やトラックなどさまざまな車に乗って、土煙を上げてやって来た。だがトルコ側は車での入国を認めなかった。国境付近には乗り捨てられた車がどんどんたまっていく。そしてある日、イスラム国の戦闘員がやって来て、トルコ兵の目の前でそれらの車を盗んでいった。

 現在トルコ国内には、約160万人のシリア難民がいる。シリア国内で避難をしている人や、レバノンやヨルダンに一時的に滞在して食うや食わずの生活を強いられている人は、さらに800万人以上。戦乱は隣国イラクにも広がり、そこでもイスラム国の戦闘員に追われて、200万人が避難を余儀なくされている。中東全域を合わせれば、その数は1200万人にものぼる。この現状が政治に及ぼす悪影響は計り知れず、長く続いていくだろう。

「もはやトルコやシリアだけでなく、世界全体に関わる問題です」。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のセリン・ウナル広報官は、シリアとの国境近くにあるキリスの難民キャンプでこう言った。「今ここで、歴史的に重大な事態が起こりつつあるのです」

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年3月号でどうぞ。

編集者から

「シリア日本人人質事件」が起きたのは、この特集を編集している真っ最中のこと。サロペックのレポートが一挙に身近に感じられる、皮肉な結果となりました。連日報道されている町が「ここだったのか!」と思うだけで、何か違った見え方がしてきます。ニュース番組とはまた別の視点から、あの事件の背景を知るきっかけにしていただければ幸いです。(編集H.O)

この号の目次へ

ナショジオクイズ

米国のスタジアムで礼拝を行うムスリム(イスラム教徒)たち。ちなみに、このスタジアムを本拠地とする選手といえば?

  • 田中将大
  • 大谷翔平
  • 前田健太

答えを見る

ナショジオとつながる

週2回
配信

メールマガジン無料登録

メルマガ登録の詳細はこちら

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー

ナショナルジオグラフィック日本版サイト

広告をスキップ