世間を欺いた6つの科学イカサマ

お騒がせな捏造は決してなくならない?

2015.02.17
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 2015年2月上旬、米国イエローストーン国立公園で「ビッグフット(北米の山中に生息するとされるヒトに似た毛深い未確認動物で、サスクワッチとも呼ばれる)」の姿を捉えたとされる動画がネット上で拡散して話題になった。そこで今回は、歴史的に有名な科学イカサマをいくつかご紹介したい。なお、この低画質の動画はまだ正式にはイカサマと判定されていないが、科学者も公園当局も、観光客や野生動物のいる公園内を未知の二足歩行動物がうろついている可能性はきわめて低いと言っている。

 撮影された生き物は、ビッグフットの着ぐるみを来た人間だろうというのが大方の見方であるが、その正体が明らかになるのはいつなのか、そもそも正体が明かされることがあるのかはわからない。多くの古典的なイカサマは、懐疑的な人々によって見破られたり、当事者が嘘を告白したりして終息している。

 もちろん、だからといって、この世界から小さな謎が1つもなくなってしまったことにはならない。

ビッグフット

Photographs by Associated Press

「ビッグフット」が現れたのは今回が初めてではない。1920年代には、米国北西部の鉱夫たちが雪に残された巨大な足跡を見つけて震え上がった。けれども1982年になってようやくラント・マレンズが、木こりをしていた頃にビッグフットの伝説を途絶えさせないため、木彫りの巨大な「足」を作って、ワシントン州のセントヘレンズ山の雪に足跡を残してまわっていたことを告白した。写真左はその「足」。

 写真右は、父親のマーク・ペティンガーが米国ワシントン州ピュアラップで見つけてとったとされたサスクワッチの足跡の石膏模型を持つ少年。1975年撮影。

ピルトダウン人

Photograph by Maurice Ambler, Getty Images

 写真は、アルヴァン・T・マーストンが、「ピルトダウン人」の歯と比較するためにチンパンジーの歯の大きさを測っているところ。科学史上最も有名なイカサマの1つを見破った人物の1人だ。

 1912年、ヒトと類人猿をつなぐミッシングリンクを探していた科学者たちは、ついにそれが発見されたことを喜んだ。イングランド南東部のピルトダウンの砂利採掘場で発見された頭蓋骨と下顎の骨の破片を大英博物館で組み立てたところ、頭蓋はヒトに似ているが、下顎はサルに似ていることが明らかになったのだ。

 1953年、このピルトダウン人化石が偽物だったことがわかった。頭蓋は中世のヒトのもの、下顎はオランウータンのもの、歯はチンパンジーのものだった。この化石をでっちあげたのが誰だったのかは不明である。

ネッシー

Photograph by Bentley Archive, Popperfoto, Getty Images

「ネス湖の怪獣」の伝説は、今から1400年以上前にアイルランドの三守護聖人の一人、大コルンバがスコットランドで水中に棲む怪獣に遭遇したという記録まで遡ると言われる。

 その後、怪獣が目撃されることはほとんどなかったが、1933年に新しい道路ができてネス湖を訪れやすくなり、北側の湖畔からの眺望がよくなると、ドラムナドロキットのホテルの主人による目撃談を皮切りに目撃証言が相次いだ。

 同じ年に、霧のただようネス湖の湖面から長い首を出しているネッシーの写真(上)が発表された。写真の撮影者が婦人科医として名高いロバート・ウィルソン大佐であったことから、瞬く間に大騒ぎになった。

 1994年、この粒子の粗い白黒写真が再び新聞の一面を飾った。クリスチャン・スパーリングというウィルソンの関係者が、死の間際に、この写真はおもちゃの潜水艦にプラスチックの首と頭を付けて撮影したものだったと告白したのだ。

カーディフの巨人

Photograph courtesy of Farmers Museum, Associated Press

 1869年、米国ニューヨーク州カーディフの農場主と葉巻製造業者の兄弟が、地中から全長3m、重さ1360kgもある「巨人の化石」を掘り出したと発表して話題になった。専門家はすぐに、それは化石ではなく石膏の彫像であり、しかも最近作られたものだと見破った。

 それにもかかわらず多くの人が「カーディフの巨人」を見にやって来て、兄弟は1人あたり50セントの見物料をとって大儲けした。

タスマニアセイウチモドキ

Photograph by Robert Clark, National Geographic Creative

 米国フロリダ州の新聞『Orlando Sentinel』の1984年のエイプリルフールのいたずら記事は大成功だった。「タスマニアセイウチモドキ」という動物がペットとしていかに理想的な性質を備えているかを写真つきで紹介する記事だったが、その写真は実際にはハダカデバネズミ(上)のものだった。

 ウェブサイト『Museum of Hoaxes(イカサマ博物館)』によると、記事には、タスマニアセイウチモドキは名前のとおりセイウチに似ているが、体長は10cmと小さく、猫のようにゴロゴロとのどを鳴らし、ハムスターのようにおとなしいと書かれていた。さらに記事は、この動物はタスマニアから密輸されたものだろうという推測を交えながら、風呂に入れる必要がなく、トイレのしつけをすることができ、ゴキブリまで食べてくれる「理想のペット」だと褒めそやした。

 サイトによると、この記事の掲載後、数十人の読者がタスマニアセイウチモドキを飼いたいと新聞社に問い合わせをしてきたという。残念ながら、ハダカデバネズミはこのような動物ではない。

オバケダイオウイカ

Screenshot from Lightly Braised Turnip, www.lightlybraisedturnip.com

 2014年1月、とてつもない大きさのイカの写真がウェブ上を駆けめぐった。体長は49mであるという。

 画像は最初に『Lightly Braised Turnip』という虚構のネット新聞に風刺記事とともに掲載されたもので、これが文脈を離れて広まってしまったのだ。

 実際に確認されているダイオウイカの体長はせいぜい12mだ。専門家によると、この画像がイカの写真を引き伸ばして海岸に立つ人々の写真と合成したものであるのは一目瞭然だという。

文=Brian Clark Howard/フォトギャラリー=Nicole Werbeck/訳=三枝小夜子

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