温暖化で極端なエルニーニョ/ラニーニャ倍増

国際研究チームが21種類のモデルで推測

2015.01.29
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カリフォルニア州のメンドシーノ湖。乾いた湖底にブイが横たわる(Photograph by Rich Pedroncelli, AP)

 21世紀、太平洋を取り巻くアジアやオーストラリア、アメリカ大陸西部の人々は、より激しい気象の変動を覚悟しなければならなさそうだ。

 温室効果ガスが今のまま増え続ければ、極端なエルニーニョ/ラニーニャ現象はおよそ10年に一度のペース、つまり現在の2倍の頻度で起きると、オーストラリアの気象学者ウェンジュ・カイ氏ら国際研究チームが報告した。

 報告は、二つの論文に掲載されている。
 1月26日付『Nature Climate Change』誌の論文はラニーニャ現象について。増加する温室効果ガスが海と陸の温度や風のパターンをどのように変化させるかをシミュレーションしたところ、今世紀中、特に強烈なラニーニャ現象がおよそ13年に1回の頻度で起きるという結果が出た。

 またこれに先立って発表されたエルニーニョについての論文では、猛烈なエルニーニョ現象が10年に1回訪れ、その直後にラニーニャ現象が頻発するだろうと予測した。「結果は非常に説得力があり、その影響が劇的であることを考えると、ある意味恐ろしい」とカイ氏は語る。

 もっとも最近に起きた1990年代後半の強烈なラニーニャでは、米国南西部が深刻な干ばつに見舞われ、バングラデシュの国土の半分が水浸しになり、中国では数千人が洪水の犠牲となり、2億人以上が住む場所を失った。その前に発生したエルニーニョは、世界中で330億ドル(およそ3兆3000億円)の被害と2万3千人あまりの犠牲者を出している。

極端現象の間を揺れ動く

 エルニーニョ現象が起きると、赤道付近を西寄りに吹く貿易風が弱まり、ふだんなら太平洋西部へ運ばれる暖かい海水が東に滞留する。通常インドネシアあたりに集まる温かく湿った空気と雷雨は、東へと移動。アジアの一部の地域とオーストラリアでは降雨量が減り、アメリカ大陸では増加する。

 一方、ラニーニャ現象が起きた場合、貿易風は強さを増し、暖かい海水と湿った空気はアジアに向かって西へとさらに移動、東太平洋の中央部は冷たく乾燥した気候となり、米国南西部は干ばつに見舞われる。

 温室効果ガスによって地球全体が暖まるにつれて、このサイクルはどうなるのだろうか。研究者らは21の異なるコンピューターモデルを使って、その答えを導き出した。

 結果、ほとんどのモデルが、将来アジア大陸の地表が太平洋中央部の海水面より速く暖まると予測した。ラニーニャの年、太平洋中央部がすでに通常より冷たくなっている時には、陸と海の温度差がより大きくなることでアジアに強い風が吹き込み、海面の暖かい水が風によって押し流される。すると、太平洋中央部により冷たい海水が湧きあがり、温度差が大きくなって風も一層強まる。

 同様に、アメリカ大陸に近い太平洋東部は中央部よりも暖かくなるだろう。エルニーニョの年、両地域の温度差は小さくなり、貿易風が弱まるとエルニーニョはさらに極端になる。

 つまり、地球温暖化が進行すると、気象は二つの極端な現象の間で大きく揺れ動く傾向となるだろう。研究結果によると、極端なエルニーニョ現象が起きた直後にラニーニャが起こる確率は75%増加する。つまり、太平洋に面する地域では干ばつの後に大雨が続き、その逆が起きるなど、より多くの被害を受けることになるだろう。

文=Warren Cornwall/訳=益永依子

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