深海のサメ、ラブカが網にかかる

伝説の「大海蛇」の正体? 恐竜時代の祖先たちによく似た深海の住人

2015.01.27
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オーストラリア沖の海から水揚げされたラブカ。体長は2メートル。貴重な深海生物を見られる機会となった。(Photograph by SETFIA)

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 まれにしか見ることのできない深海の住人、ラブカが漁船に捕獲された。その姿は恐竜時代の祖先をしのばせる。

 歯がぎっしりと並ぶ大きく開いた口と、ウナギのように細長い体を見れば、海に怪物がすむという古い伝説の元になったのはラブカではないかと科学者たちが考えているのもうなずける。悪夢に出てきそうな外見だが、深海生物のため人と遭遇することはめったにない。しかし今週、オーストラリアの漁師たちによって水揚げされた。

 サメの一種であるラブカ(学名:Chlamydoselachus anguineus)はしばしば、「生きた化石」と呼ばれる。約8000万年の間、ほとんど変化していないと考えられているからだ。恐竜の時代に生きていた祖先たちもよく似ていた。

 ラブカが網にかかったのは、オーストラリア、ビクトリア州南東部の港町レイクス・エントランスに近い海域。地元メディアが20日、トロール漁船が2メートルのラブカを捕獲したと伝えた。

 南東オーストラリア・トロール漁協会のサイモン・ボーグ氏はオーストラリア放送協会(ABC)に対し、「地元の漁師は誰も見たことがありませんでした」と話した。「本当に8000万年生きていたかのようです。有史以前の生き物という感じがしますね。別の時代からやってきたようです!」

「歯列は25以上、歯は300本ありますから、一度かみつかれたら逃げられないでしょう」とボーグ氏。

細長い体を持ち、口の中には歯がびっしりと並ぶ。(Photograph by SETFIA)

 ボーグ氏はナショナルジオグラフィックの取材に対し、ラブカは水上に引き上げられたときには「死にかけていた」と話した。

 ボーグ氏によれば、ラブカが捕獲されたのは水深約1000メートルの地点だ。過去には水深1500メートルの深海で見つかったこともあるが、基本的には1200メートル以上の深海には生息しないと考えられている。

 今回捕獲された標本がラブカであることは、同国の国立科学研究機関であるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)によって確認された。

 ラブカは海面近くでも目撃されることがあり、その場合は多くが衰弱している。最も一般的な標本は体長2メートル前後だ。しかし、米国カリフォルニア州に拠点を置く海洋生物保護協会(The MarineBio Conservation Society)によると、1880年に捕獲された7.6メートルのサメもラブカの一種と推測され、「海中には一部に大型のラブカがいて、伝説の大海蛇(シーサーペント)と思われてきたのかもしれない」という。

 2007年には、日本の静岡県沼津市近くの浅い海で1.6メートルのラブカが見つかり、水族館に運ばれたが、捕獲から数時間で死亡している。

文=Brian Clark Howard/訳=高野夏美

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