新種の魚竜化石、ジュラ紀の進化史を変える

魚竜大進化の原因は、海水温変化や大規模噴火ではなかった

2015.01.19
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ジュラ紀の海で泳ぐ、海生爬虫類 Dearcmhara shawcrossiの想像図。ILLUSTRATION BY TODD MARSHALL

 ジュラ紀には恐竜が陸を支配し、魚竜が海を制覇していた。魚竜は、細長い口をしたワニと獰猛なイルカを合わせたような外見の動物だったとされる。魚竜=イクチオサウルス(Ichthyosaurs)は、「魚のようなトカゲ」という意味。現代で言えば、クジラやサメのような存在だった。

 このほど英国スコットランドの研究チームが、およそ14フィート(4.3メートル)ある新種の魚竜を発見したと発表した。小型のモーターボートに匹敵する大きさだ。「およそ1億7000万年前に海に生息していたと思われる、まったくの新種。スコットランドで魚竜の化石が見つかったのはこれが初めてです」。そう語るのはエジンバラ大学で古生物を研究するスティーブン・ブルサット氏。スコットランドは、謎の怪物ネッシーでも有名だ。

 ブルサット氏のチームは、スコットランドのスカイ島でこの化石を発見したアマチュア化石収集家、ブライアン・ショウクロス(Brian Shawcross)氏にちなみ、この魚竜をDearcmhara shawcrossiと名付けた。化石には、魚竜の腕、背中、尾が含まれる。これらの化石はショウクロス氏からグラスゴー大学ハンタリアン博物館へ寄贈され、そこで分析が行われた。

海の番人が交代

 この新種の発見は、魚竜の進化についてこれまで考えられてきたことを覆すもので、非常に興味深いと研究チームでは考えている。

 D. shawcrossiは、なかにはバスほどの大きさにまで成長するものもあるものの、小型で原始的な魚竜だ。約1500万年間続いたジュラ紀中期に生息していたと考えられる。ジュラ紀中期のことはまだあまり解明されていないが、前後の時期の化石から、この時期に海中で生物の大進化が起こったことがわかっている。「ジュラ紀中期の後、より大きく進化した新種の魚竜が出現し、それまでの魚竜に代わって世界の海で優勢となりました」

 今回発見された魚竜は、小さく原始的な種類のものだった。大型魚竜への移行はこれまで考えられてきたよりもやや遅い時期に起こったのではないかと考えられる。魚竜がなぜ大型化し、より獰猛になったのかは明らかでないが、D. shawcrossiの発見から、こうした移行は徐々に進んでいったもので、海水温度の変化や大規模な噴火に伴う気候変動によって突然起きたものではないことが伺える。

偶然の産物

 魚竜の化石は特に珍しいものではない。チリ南部からロシア西部に至る世界各地で、新しい化石が次々と発見されている。しかし、ほかの多くの化石と同じく、ジュラ紀中期のものは非常にまれだ。その理由は不明だが、「たまたまこの時期の化石があまり見つかっていないだけでしょう。スコットランドでジュラ紀中期の良い化石が見つかったのも偶然です」と、ブルサット氏は述べている。

 英国サウサンプトン大学大学院で魚竜の研究に携わるオーブリー・ジェーン・ロバーツ氏は、D. shawcrossiがジュラ紀中期に生息していたことは非常に興味深い発見だと語る。「今回の発見は、魚竜の進化に関して我々が知らなかったことを教えてくれました。興味深いことに、スコットランドでは魚竜の進化が世界のほかの場所と比べ遅れていたのです。この化石の魚竜が生息した頃、アラスカや南米では大型魚竜への進化がすでに起こっていましたが、ヨーロッパではもう少し時間がかかったようです」

文=Jason Bittel/訳=キーツマン智香

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