最終回 シュークリームがいっぱい!アイスランドの冬

 探検のきっかけは、海外の観光プロモーションに関わるある女性から聞いた一言だった。「アイスランドには“シュークリームの日”があるんですよ」。彼女はそう教えてくれたのだ。

 シュークリームの日?

 キリスト教では、かつて春の訪れと共にやってくる復活祭(イースター)に先立つある期間、断食や節食を行っていたが、北ヨーロッパや中部ヨーロッパでは、その期間に入る直前に「食べだめ」をする習慣が今も残っている。アイスランド(アイスランド共和国)では、断食期に入る前日、塩漬けのラム肉をたんまり食べるのだが、さらにその前の日にはシュークリームでお腹を満たすのだ。お店には、この時期いっせいにシュークリームが並ぶらしい。ふわふわのクリームが入ったシュークリームでいっぱいの街の風景なんて、恐ろしく魅力的ではないですか。

 アイスランドのシュークリームについてもっと知りたいと、アイスランド大使館の商務官、ハルドル・エリス・オラフソンさんに話をうかがった。

 アイスランドは9世紀にノルウェーからやってきたヴァイキングが植民した土地だ。14世紀末にはデンマーク王の統治下に入り独立したのは20世紀半ば。その食文化はデンマークの大きな影響を受けてきたわけで、シュークリームも同国の影響からアイスランドに根付いたお菓子だという。

 アイスランド語でシュークリームは「ボラ」(丸いパンの意味)と呼ばれ、件の日は「ボラの日」を意味する「ボルダーグル」と呼ばれる。シュークリームを「パン」と呼ぶ感覚は日本人としてはどうもピンとこないが、「アイスランドのボラには、日本のシュークリームと同じような薄い生地の他に、イースト菌を使ったもっとパンに近い生地のものもあるんです」というハルドルさんの言葉に納得。そういえば、スウェーデンのこの時期のお菓子「セムラ」(第78回参照)は生クリームをはさんだパンだったと思い出し、それに似ているのかなと想像した。

隊員のおやつなつぶやき