ネコは飼い主をネコと思っている?

動物行動学者が語るネコの感覚

2014.01.28
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飼いネコは本当の意味で人間を理解していないかもしれない。(PHOTOGRAPH BY FSTOP, ALAMY)

 現在、アメリカの家庭には8000万匹以上のネコが暮らしている。世界中を見渡すと、推定で飼いイヌの3倍の数のネコが飼われている。しかし、われわれは相棒のネコについて知らないことがまだ多い。飼い主をどう思っているかさえわかっていない。

 ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)氏はブリストル大学でネコの行動を研究しており、最近『Cat Sense(ネコの感覚)』という著書も出版している。ブラッドショー氏は数年にわたってペットのネコたちを観察し、1つの興味深い結論を導き出した。その結論とは、ネコはイヌと同じように人間をとらえていないというものだ。

 ナショナル ジオグラフィックは先日、ブラッドショー氏にインタビューを行った。その一部を紹介する。

◆ネコはイヌと同じように“人間をとらえて”いないと結論づけた理由は何ですか?

 イヌと人間の関係については多くの研究がなされています。そして、イヌは人間に対し、自分たちとは異なる存在ととらえていることが明らかになっています。イヌは人間を見ると態度を変えます。イヌと人間、イヌ同士では全く遊び方が違います。

 一方、ネコと人間の関係では、人間を異なる存在ととらえていることを示唆する行動はまだ見つかっていません。人間が自分たちより大きいことははっきりわかっているようですが、社会的行動を大きく変えているようには見えません。尻尾を立てる、脚にまとわり付く、隣に座る、体をなめるといった行動は、ネコ同士で行っていることと全く同じです。

◆ネコは人間を大きくてばかなネコだと思っているという発言をいくつかの記事で目にしました。これは本当ですか?

 私が著書の中で述べているのは、人間に対するネコの行動はほかのネコに対する行動と区別がつかないということです。ネコはわれわれを不器用だと思っています。人間につまずくネコはあまりいませんが、われわれはネコにつまずきます。

 ただし、ネコがわれわれをばかだと思っていることはおそらくないでしょう。ネコは自分より劣ったネコにすり寄らないためです。

◆ネコを飼っている人たちからフェイスブックを通じて質問が来ました。まず1つ目です。ほかに誰もいない部屋でネコが遠ぼえをするのはなぜですか?

 ネコは特定の音を立てたとき、飼い主がどう反応するかをはっきり覚えています。もしネコが“飼い主を別の部屋から呼びたい”と思ったとしたら、声を出すのは効果的です。ネコは直接的に学習します。

◆家族の一人を特別扱いすることがあるのはなぜですか?

 われわれはネコを賢いと褒めますが、実際は思っているよりはるかに賢い動物です。ネコは家族の誰が役に立つかを学習します。誰が朝4時に起きて餌をくれるかまでわかっているのです。

◆なぜネコはマッサージするように人間を踏み続けるのですか?

 母親に対する行動をそのまま使っているのです。ネコがわれわれに見せる行動はすべて、母ネコと子ネコの関係に何らかの形で由来しています。尻尾を立てる、すり寄る、何かをこねるように足踏みする、喉を鳴らすといった行動は、すべて子ネコのときに覚えるものです。毛繕いは母ネコが子ネコにしてあげる行為です。

 つまり、ネコはすでに身につけている行動を使って人間とコミュニケーションを取っているのです。レパートリーはあまり多くありません。おそらく10もないでしょう。

◆ネコをしつけることは可能ですか?

 ネコは本来しないことを覚えることができます。例えば、台所のテーブルに飛び乗る癖が付いた場合、やめさせる方法がいくつかあります。

まず、ばねのおもちゃを使う方法です。ネコが飛び乗ると、おもちゃが音を立てて跳ね上がるようにしておけば、ネコは嫌がって飛び降ります。もう1つはわりとネコに優しい方法です。子供の水鉄砲を使います。ただし、水鉄砲を持っていることに気付かれてはいけません。ネコは決して許してくれません。不安や害を与えられていることに気付くと、ネコはその相手を避けるようになります。

◆ネコを飼っている人に知っておいてほしいことは何ですか?

 ネコは社交的な動物ですが、イヌほど社交的ではないということです。ネコを飼っている人の多くがもう1匹増やそうとします。その方が2倍楽しいと考えるためです。しかし、ネコはそう思っていないかもしれません。

 伝えたいメッセージは単純です。もし2匹以上のネコを飼いたければ、慎重を期してほしいということです。そして、うまくいかなければ諦める覚悟も必要です。

文=Christine Dell'Amore

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