第13回 もっと光を! 冬の日照不足とうつの深~い関係

 これらさまざまな光の情報は網膜の光受容細胞で神経シグナルに変換され、その大部分は視神経を通って後頭葉の視覚野に向かう。すなわち「物を見る」ために使われる。これを光の視覚性作用と呼ぶ。普段、我々が光のありがたみを実感するのは、視覚性作用によって物の形、色、質感が分かることによる。

 物事の常で、視覚性作用があれば、非視覚性作用もある。光情報の一部は視覚野ではなく、その他の広範な脳領域に向かう。その出発点はやはり網膜に存在するメラノプシンと呼ばれる特殊な感光色素をもつ神経細胞(神経節細胞)である。メラノプシン含有細胞から出た神経シグナルは視神経の途中で分かれて視床下部の視交叉上核に向かう(網膜視床下部路)。

 視交叉上核に入った神経シグナルは、さらに他の視床下部や脳幹部にある重要な神経核に向かい、自律神経機能や気分の調節のほか、図に挙げたような多様な非視覚性作用を発揮する。すなわち、光は物を見ること以外にも我々の心身機能にさまざまな影響を及ぼしているのである。しかし我々が非視覚性作用を実感することは少ない。

物体に反射した光は瞳孔を通過して網膜に至る。網膜の光受容細胞で神経シグナルに変換された光情報は、視神経を通り外側膝状体を通過して後頭葉の視覚野に向かう(視覚性経路)。一方、メラノプシン含有神経節細胞から出た神経シグナルは視交叉で分かれて直上にある視床下部の視交叉上核に向かう(網膜視床下部路)。視交叉上核は約24時間周期の体内時計シグナルを発振する神経核として有名だが、非視覚作用の中継核としても重要な役割を果たしている。(画像クリックで拡大)