第112話 これはもしかして!春を呼ぶ、雪の舞?

 胸がぎゅう~と締め付けられるような哀れオオカミの糞観察を終えて、「よっこらしょ」と立ち上がって周りを見渡すと、辺りの 風景はすでに、暗く灰色がかっていた。

 低く覆っている雲のせいで、いつもよりも暗くなるのが早い。

 遠くに目をやると、湖岸の森が濃い霧で覆われていた。

 霧というよりも、よく地上付近や山腹に漂っているような霧雲だ。

「あれ?」

 私はふと思った。

 そう言えば、こんなに重そうな曇天は久しぶりだ……。

 冬の寒さにしては暖かく、今にも雪になりそうな湿気さえも感じる。

 これまでの天気はと言うと、薄いヴェールのような上層雲が張り出すだけで、比較的晴れていることが多かった。

 空はいつも高くスッパ抜けていて、太陽光はまっすぐに射してくるし、星空などは、無数の針の先端のように鋭く輝いていた。

 だから、いつも放射冷却状態になっていて、外気がキーンキンに冷やされている。

 まるで、空気中の水分など一切の存在を許さないと言わんばかりに、全ての水分を凍てつかせて、空気は乾燥しきり、寒いと言っても、キリキリ、チクチクと肌に刺す感じだった。

 それがなんだか、今の私にはしっとりとした、どこか懐かしい寒さに感じられた。