第35回  長寿大国グルジア、その秘訣は食にあり?

 タラグ、ターホー、ダヒ、サコーラス、ザバディ……。これらが何であるか、ご存知だろうか。タラグはモンゴル、ターホーはハンガリーと、すべて世界各国でつくられている発酵乳、いわゆる私たちが“ヨーグルト”と呼んでいる食べ物の名前である。

 前回、ブルガリア人のソウルフードとして話を聞いたヨーグルト。それまでは白くどろっとした発酵乳はすべてヨーグルトだと思っていた。しかし、家畜の乳や発酵させる菌、つくり方の違いによって種類は多岐にわたり、本来のヨーグルトとはブルガリアやトルコで食べられている発酵乳の一つにすぎなかった。

 いまや世界的にも広義にヨーグルトの名が使われているが、古代から各地で独自につくられてきた発酵乳をその土地の人びとはヨーグルトとは呼ばない。まったく別の食べ物と捉えているのだ。思い入れが強いほどなおさらであり、それを感じたのはブルガリアの話を聞いたほんの2週間後のことだった。

「マツォーニはヨーグルトではありません」

 そう話すのは、東京大学大学院のグルジア人留学生、ツィスマリ・クシュタシュヴィリさん。2014年11月16日から約1カ月間にわたって東京・渋谷のカフェ「エルラブズアール」で催されるグルジア料理イベントの試食会にお邪魔した際、彼女と話をする機会に恵まれた。黒海とカスピ海の間にあるグルジア周辺でもブルガリア同様にヨーグルトをよく食べると聞いていたので、「ヨーグルトはソウルフードなのか」と尋ねたらこんな答えが返ってきたのだ。

ナショナル ジオグラフィック日本版2014年10月号の特集『カフカスの山に抱かれて伝統守るグルジアの村』では、カフカス山脈の高地で守り継がれるグルジアの伝統的な暮らしを描いています。こちらもあわせて、ぜひご覧ください。