第117回 虫食いリンゴの美味なるケーキ

 「ポーランドではリンゴはね、虫がついてないと美味しくないっていわれるんですよ。だから、虫がいっぱいついたリンゴを見ると、『美味しそう!』って思うんです」

 頬を赤らめながら、こう教えてくれたのはポーランド大使館の参事官、エリザ・クロノフスカ・シヴァクさん。「ポーランドでは多くの人が小さな別荘を持っていて、そこの庭や果樹園などで育てたリンゴは無農薬。だから、虫がつくんです。虫よけカバーなどせずに、自然のままに育てますから」

 リンゴは同国の主要作物で、輸出量で世界一に躍り出たこともある。「種類も豊富で約40種のリンゴがあります」と彼女。学校に持って行くお弁当はサンドイッチとリンゴが大定番。なんと焼きリンゴを入れるリンゴ型をした伝統的な器まである。そして、同国一の名物菓子もリンゴを使った「シャルロトカ」。リンゴのケーキだ。

 名物菓子というと「正しい作り方」がありそうに思えるが、シャルロトカは各家庭や店によって、使うリンゴもレシピも異なるという。エリザさんの家では、生地を手でちぎって一人前サイズの小さなタルト台を作り、その上にシナモンと合わせたリンゴを載せて焼く。リンゴの上にメレンゲを載せることもあるそうだ。タルト生地ではなくスポンジケーキを使ったり、シナモンを使わないレシピもあるらしい。リンゴもイチョウ切りにしたり、すりおろしたりとバリエーションがある。

 「私の両親は小さな果樹園を持っているので、そこで収穫したリンゴを使って作るんです。リンゴについた虫を取りながらね」とエリザさんは楽しそうに話してくれた。

焼きリンゴのためのリンゴ型陶器。焼き上がったものをこれに入れて食べる。昔は各家庭に必ずあった器だという。耐熱性のため、これごとオーブンに入れリンゴを焼く人もいるそうだ

隊員のおやつなつぶやき