生産地から食卓へ届くまでに食品の3分の1が捨てられ、世界の食品廃棄量は、年におよそ13億トンにのぼる。何か改善する方法はないだろうか?

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シリーズ 90億人の食 捨てられる食べ物

生産地から食卓へ届くまでに食品の3分の1が捨てられ、世界の食品廃棄量は、年におよそ13億トンにのぼる。何か改善する方法はないだろうか?

文=エリザベス・ロイト

 国連食糧農業機関(FAO)の推定によると、全世界で人間が食べる目的で生産された食べ物のうち、農場から加工場、市場、小売業者、飲食店、家庭の台所へと流通していく間に、3分の1が毎年捨てられているという。重量にして約13億トン。これだけあれば30億人を十分に養うことができる。

米国の典型的な4人家族が1年間に捨てる食品は重さ500キロ以上。その量を実感するため、ウォルト家のダイニングに並べてみた。家族をもう一人養えるほどだ。(Photograph by Robert Clark)

 廃棄される理由は地域によって異なる。先進国では、小売りや消費の段階で食品を廃棄することが比較的多い。発展途上国では、消費者の元に良い状態で食料を届けるインフラが整備されていない場合が多く、これが生産から消費に至る各段階や流通過程で生じる廃棄の大きな原因となっている。

 どのような状況であれ、捨てられた食品が誰かの胃袋を満たすことは二度とない。食べ物を無駄にするのは、それを生産するのに使われた燃料や農薬、水、土地、労力も大量に無駄にしたのと同じだ。2007年には、誰にも食べられずに捨てられた食べ物を作るために、合わせて14億ヘクタールの土地が耕された。これは、カナダの国土面積よりも広い。ごみとして埋められた食べ物からは、二酸化炭素よりもはるかに強力な温室効果をもつメタンガスが発生し、環境への負荷が高まる。世界中で捨てられる食べ物全体を一つの国と仮定すると、そこから排出される温室効果ガスの量は、中国と米国に次ぐ世界第3位となるのだ。

半分は捨てていたアフガニスタンのトマト、廃棄率5%に

 もし、世界各地で起きている衝撃的な規模の食品廃棄に救いがあるとすれば、改善の余地が十分あるという点だろう。
 たとえば、発展途上国では援助団体が小規模農家に対して、野菜や果物の乾燥や保存に適した道具、保冷や梱包のための簡易装置を提供している。そのおかげもあって、捨てられる食品は減りつつある。アフガニスタンのトマトを例に挙げると、無駄になる量は50%から5%まで減少した。

 米国では、メディアや政府機関、環境保護団体が食品の廃棄に注目しているおかげで、捨てた食品を計量する飲食店が増えている。これは食品廃棄を減らす上で、極めて重要だ。
 ほかにも組織的な解決策が出てきている。食品廃棄の削減が国の最優先課題になっている英国では、「フィーディング・ザ・5000」という草の根運動が進行中。良質だがスーパーマーケットの規格から外れた農産物を農家や梱包業者から集めて調理し、5000人に無料でランチを提供している。

 食品の無駄を減らす第一歩は、人々にそうした問題があることを知らせ、理解してもらうことだ。知らなければ、改善は望めない。食品の値段が上がるにつれて、人々の考え方は少しずつ変化しつつある。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2014年11月号でどうぞ。

編集者から

 なんとも居心地の悪さを感じながら、この記事を編集した。居心地の悪さは、自分が食品廃棄に加担しているからだろう。わが家の冷蔵庫の中にある食べ残りの野菜や瓶詰のトマトソース、キャビネットには数年前のセールのときに買った缶詰やレトルト食品・・・。年に数回、「えいやっ!」と食品の整理をする。整理というと聞こえがいいが、要は、ずっと食べずに放置してある食品を処分するということ。罪悪感がないわけではないが、すっきりとした気分になることも確か。でも、やはり間違っている。「食べ物を粗末にすると、罰が当たるよ」。祖母によく言われた言葉を思い出した。(編集S.O)

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