第34回  琴欧洲親方を支えた故郷の味

 山羊は多いときで3匹飼っていて、乳搾りとしての役目を終えたら食べてしまったという。それがブルガリアの地方の暮らしなのだ。

「ブルガリア人にとってヨーグルトは日本で言う味噌のようなとても身近なものですね。タラトルはいわゆる味噌汁です」とヨルダンさん。それを聞いて、琴欧洲親方が「ヨーグルトは日本人の米くらい大事なもの」だとして、こう話してくれたのを思い出した。

「いまでもヨーグルトを食べると故郷のブルガリアを思い出して心が落ち着いたりします。場所中は妻にタラトルなどのブルガリア料理をつくってもらうと、よい気分転換になりました。相撲は普段の稽古も大切ですが、心身にバランスが良い食生活も同じくらい大切。そのことも親方として若い力士たちに伝えていきたいです」

 ブルガリア人の身体と心を支えてきたヨーグルト。そういえば、最近の市販のプレーンヨーグルトには粉砂糖が入っていない。本来の味を楽しもう、ということなのだろうか。いままでなんとなく食べていたが、これからはあの甘酸っぱさをもう少し味わって食べようと思う。

ブルガリアの大統領も訪れたというブルガリア料理の専門店「ソフィア」。炒めた挽き肉と野菜の上に水切りヨーグルトとチーズをのせるムサカも人気

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中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮