第116回 食べないと不幸になる?! ポーランドのドーナッツ

「ポンチキヤ」の坂元萌衣子さん。日本のパン屋などで働きながら資金を貯め、今年7月末にお店をスタートした

 ポーランドには年に1度「ポンチキの日」もあるという。元々ポーランドでは、キリストの復活を祝う復活祭(イースター)の前のある期間、ご馳走や甘いものなどを控える断食や節食が行われていたが、この期間に入る直前の木曜日に甘~いポンチキを「食べ貯める」のだ。ポーランドの食文化を紹介するサイト「Tasting Poland」によれば、「トゥスティ・チファルテック(脂の木曜日)」と呼ばれるこの日、同国では1億個ものポンチキが消費されるのだとか。

 「会社でも、社長や部長がたくさんポンチキを用意してみんなに振る舞ったり、お皿に山盛りにしたポンチキを自宅のキッチンに置いて好きに食べられるようにしたりするんです。『脂の木曜日』には仕事の合間にも夕食時にもポンチキを食べ、1人で何十個も食べる人もいます。食べないと不幸になるという言い伝えまであるんですよ」とエリザさん。

 こんな話を思い返しながら開場を待っていると、ようやくお祭りがスタートした。早速向かったのは、ポンチキを売る「ポンチキヤ」。ポーランドが大好きだという坂元萌衣子さんが今夏スタートさせたばかりのポーランド料理とお菓子の移動屋台だ。

 子どもの頃からピアノを習っていた坂元さん。ポーランド出身の作曲家ショパンが好きで、「ショパンが話していた言葉を学びたい」と大学でポーランド語を専攻、同国への留学を経て、とうとうポーランド料理の屋台まで開いてしまったのだという。

 初めて同国を訪れた坂元さんの心をぐっと掴んだのは南部に位置する街クラクフ。首都が現在のワルシャワに移る前、長らくポーランド王国の王都であった街で、その中央市場広場は中世から残る広場としてはヨーロッパ最大といわれている。「どこへ行くともなしに夜の街を歩いていたら、ふっと中央市場広場に出て。アコーディオンの音色が聞こえてきて、まるで本当に中世に迷い込んだみたいだったんです」という。

クラクフの中央市場広場。「まるで、ディズニーランドが本当の街として現れたみたいでした」と坂元さん 写真=Polska Organizacja Turystyczna

隊員のおやつなつぶやき