仏像梨から考える、果物はやっぱり見た目?

(写真提供:Fruit Mould Company)

 詩人シルヴィア・プラスの作品に、こんなくだりがある。「洋梨は小さな仏像のように肥える」――お腹をぷっくりとふくらませて、静かに熟してゆく洋梨の様子を完璧に表現している素晴らしいたとえだ。

 ところが近ごろの農園では、本当に小さな仏像にそっくりの洋梨が作られている。瞑想にふけっているようにも見えるこの仏像梨を作るのに欠かせないのが、中国のフルーツ・モールド社が製造するプラスチック製の型だ。同社はほかにも、ハート形のスイカ、星形のキュウリ、人間のお尻の形をしたセクシーなモモなどを作る道具を販売している。

見た目に古くからこだわり

 太古の昔に農耕を始めて以来、人間は果物や野菜にさまざまな改良を加えてきた。当初、そのおもな目的は大きさと生産性――つまり、より大きく、より早く育ち、より多く収穫できる種類を作ることであった。

 やがて人々は、見た目にこだわるようになる。アメリカ大陸では、コロンブスがやってくるはるか以前から、何百種類ものトウモロコシや豆、ピーマン、トマトなどを作っていた。スペインの修道士、ベルナルディーノ・デ・サアグンが書いた『ヌエバ・エスパーニャ諸事物概史』(1577年)には、アステカ王国の町テノチティトランの市場に並ぶ、恐ろしいほど多様なトマトの描写がある。

 “大きなトマト、小さなトマト、葉のようなトマト、ほっそりしたトマト、甘いトマト、大蛇のようなトマト、乳頭型のトマト、蛇のようなトマト。黄色、濃い黄色、黄色がかった色、赤、濃い赤、生き生きとした赤、生き生きとした濃い赤、鮮やかな赤、赤っぽい色、夜明けのバラ色など……”