第4回 ウナギ保護の具体的な課題とは

ウナギの放流は資源の回復に役立っているのか?

 減ってしまった水産資源を回復させることを目的に、人工的に育てた魚の放流が行われることがある。ウナギの場合、川や池で漁を行うのに必要な認可(漁業権)を得るには、ウナギを増やす活動が義務付けられており、各地の漁協ではシラスウナギを少し大きくしてから川に放流する取り組みが行われている。

 シラスウナギのような小さなうちは多くの外敵の捕食の対象になるが、少し大きくしてから川に戻せば、捕食されるリスクが軽減。ニホンウナギの資源量の回復に貢献できるのではないかと考えられているわけだ。しかし、ウナギの放流には心配されることもあるという。吉永講師がこう指摘する。

「人間の飼育下に置かれたウナギを介して、病気が天然のウナギにまで広まってしまう危険性が考えられます。ですから、ウナギの放流は慎重に進めなければなりません」

日本大学生物資源科学部の塚本勝巳教授

 自然の川や池と異なり、養殖池の中で密集して飼われていると、一度、病原体が感染すると養殖池のすべてのウナギに感染が拡がってしまうだろう。そのようなウナギが自然に放流されることになれば、天然のウナギを感染症の危険に曝してしまうかもしれないのだ。さらに、日本大学生物資源科学部の塚本勝巳教授がこう続ける。

「魚がいなくなると放流して資源を回復しようという考えになるが、欧米では生息環境を改善してやって、天然の個体による繁殖で数を増やしていくという方法がとられます。安易に放流するよりも生息環境の改善に注力した方が良いのではないでしょうか」

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