第12回 食べたモノもまるわかり、すけすけボディー

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 クマムシの体は種類によって色が異なる。いわゆるシロクマムシとよばれる種類の多くは、文字通り白色だ。薄いオレンジ色をしたオニクマムシや、茶色をしたヨコヅナクマムシもいる。カザリヅメチョウメイムシという種類は美しい黄色をしている。

 どのクマムシも体に色がついているとはいえ、いずれの種類も体表の色素が薄く体が半透明になっている。そのため、顕微鏡を覗くと、クマムシの体内の器官や細胞をそのまま見ることができる。

 採集したクマムシを観察すると、たまにお腹が緑色になっていることがある。クマムシにはコケの体液をチューチューと吸う種類もいるため、この緑色の内容物はコケのエキスが濃縮されたものと思われる。

 オニクマムシのような肉食性クマムシの種類だと、お腹が濃いオレンジ色の内容物で満たされていることがしばしば観察される。これは、ワムシなどの微小動物のエキスであると推測される。

 ということで、クマムシの世界では、盗み食いは存在しない。体を見ただけで何を食べたかがバレてしまうからだ。「人間でよかった」。ちょっとだけそう思える、クマムシエピソードである。

つづく

堀川大樹

堀川大樹(ほりかわ だいき)

1978年、東京都生まれ。地球環境科学博士。慶応義塾大学SFC研究所上席研究員。2001年からクマムシの研究を始める。これまでにヨコヅナクマムシの飼育系を確立し、同生物の極限環境耐性能力を明らかにしてきた。2008年から2010年まで、NASAエイムズ研究センターおよびNASA宇宙生物学研究所にてヨコヅナクマムシを用いた宇宙生物学研究を実施。2011年から2014年まで博士研究員としてパリ第5大学およびフランス国立衛生医学研究所ユニット1001に所属。『クマムシ博士の「最強生物」学講座――私が愛した生きものたち』(新潮社)、『クマムシ研究日誌 地上最強生物に恋して』(東海大学出版部)の著書がある。Webナショジオ「研究室に行ってみた。」の回はこちら。人気ブログ「むしブロ」および人気メルマガ「むしマガ」を運営。ツイッターアカウントは@horikawad