第5話 マイ実体顕微鏡購入のすすめ

 水が入ったシャーレの中で、コケから這い出てきたクマムシ。ついに姿を現したクマムシを、目で愛でるときがやってきたのだ。

 目で愛でる、といっても、肉眼でクマムシを観察することは難しい。クマムシの体長は1ミリメートルにも満たないからである。そこで登場するのが、顕微鏡だ。

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 クマムシを観察するには、双眼実体顕微鏡が適している。ステージの上のスペースが広く、シャーレをその上で動かしながらクマムシを観察するのに便利な代物だ。実体顕微鏡の中でも、ステージの下に照明が設置されている透過型実体顕微鏡がクマムシの観察に適している。倍率は20~40倍くらいまで拡大できるものがよいだろう。最近は各メーカーの企業努力により、これらのスペックを備えた実体顕微鏡が2~3万円台で入手できる。それでも若干高いといわれればそれまでだが、いつでもクマムシの姿を目で愛でることのできる権利がこの程度の投資で得られると思えば、断然「買い」だろう。

 一家に1台のマイ実体顕微鏡。この機会に思いきって購入してみてはいかがだろうか。

つづく

堀川大樹

堀川大樹(ほりかわ だいき)

1978年、東京都生まれ。地球環境科学博士。慶応義塾大学SFC研究所上席研究員。2001年からクマムシの研究を始める。これまでにヨコヅナクマムシの飼育系を確立し、同生物の極限環境耐性能力を明らかにしてきた。2008年から2010年まで、NASAエイムズ研究センターおよびNASA宇宙生物学研究所にてヨコヅナクマムシを用いた宇宙生物学研究を実施。2011年から2014年まで博士研究員としてパリ第5大学およびフランス国立衛生医学研究所ユニット1001に所属。『クマムシ博士の「最強生物」学講座――私が愛した生きものたち』(新潮社)、『クマムシ研究日誌 地上最強生物に恋して』(東海大学出版部)の著書がある。Webナショジオ「研究室に行ってみた。」の回はこちら。人気ブログ「むしブロ」および人気メルマガ「むしマガ」を運営。ツイッターアカウントは@horikawad