第6回 5兆度!の宇宙が始まった頃を再現してみた

 加速器で粒子を衝突させ高エネルギー状態を作り出すことは、時間を遡って宇宙の始まりに近い状態を再現することでもある。ここまで主に述べてきたATLAS実験は、LHC加速器の主要実験として、まさに宇宙の成り立ちを突き止め、同時に宇宙の始原に迫るものだった。

 しかし、LHC加速器で行われている実験はこれだけではない。ATLASと共にヒッグス粒子を発見したCMSが有名だが、日本の研究機関が積極的に関与し、また非常に特徴ある実験といえるALICEの検出器を見学することができた。

ハイデルベルク大学物理学部の大山健研究員。(写真クリックで拡大)

 ATLASはCERN本部に近いスイス側だが、ALICEは国境を越えてフランス側にある。ほかの検出器同様、地下に設置されているものを案内してくださったのは、現地に常駐しているハイデルベルク大学物理学部の大山健研究員。ALICE検出器の「トリガーコーディネーター」という重要な役割を担っている。膨大な実験データの中から、研究に必要な部分を切り出して記録する「トリガー」を決める担当者だ。何百人もいる研究者によって、それぞれほしいデータは違うので、コーディネーターが必要になる。

 ATLASの検出器に比べて、ALICEはやや小ぶりだ。

「検出器の大きさが16メートル、16メートル、26メートルぐらいの大きさです。ATLASよりサイズは大分小さい割にはATLAS以上に重いです。ほとんどの重さは、巨大なソレノイドマグネットですね。今、作業中でドアが開いてますが、それも1メートル以上も厚みがある鉄の塊です」

 ATLASと違って地下空間が広く、かなり距離をとって眺めることができた。また、ビームが衝突する軸の方向から見ることもできたので、全体像をイメージしやすかった。とはいっても目に入る大部分は、大山さんが言うとおり、ソレノイドマグネットの赤い外殻なのだが。

 さて、ここではどういう実験をしているのか。

ALICE検出器。(写真クリックで拡大)

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