第2回 物理学者を「救った」CERN計画

 CERNのLHC加速器には、ATLAS、ALICE、CMS、LHCbという名の主立った検出器がある。それぞれ、リング状のLHC加速器で光速近くに加速された陽子のビーム同士を正反対の方向からぶつけて、高エネルギー状態を観測する。それぞれの検出器には目的があり、その中で、ATLASとCMSは、ヒッグス粒子を発見した立役者だ。新粒子の発見などを主たる目的にした、エネルギーフロンティアの加速器実験の王道をいく検出器といえる。

 日本からの研究者はATLASに多く関与しているため、本稿ではATLASについて重点的に述べたい。

 ATLAS(A Toroidal LHC Apparatus、トロイダルLHC検出器。ドーナッツ型のコイルに電流を流して磁場を得るトロイダル磁石が使われるためにこの名前がついている)は、LHC加速器に繋げられる形で、地下100メートルに設置されている。全長44メートル、直径24メートル、7000トンの巨体だ。

 ATLASの実験には、日本の研究者が主要メンバーとして多く参加してきた。その中でも、LHC加速器自体の建設から、ATLAS検出器の建設、運用、ヒッグス粒子の発見まで、一貫してかかわってきた存在として、近藤敬比古(こんどう たかひこ)・高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授がいる。近藤さんは、ATLAS実験の日本共同代表も務めた、いわばグループリーダーの1人だ。

 近藤さんに、御自身と加速器実験とのなれそめや、20世紀から21世紀にかけてのエネルギーフロンティア計画について、含蓄のある話を伺うことが出来た。現在、エネルギーフロンティアを疾走するLHC加速器に至るまでの紆余曲折を自ら体現するかのような研究歴である。

日本製の「超伝導4極マグネット」の前に立つ近藤敬比古・高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授。(写真クリックで拡大)

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