世界の人口は、2050年までに90億人に達する。地球環境に負担をかけずに、十分な食料を確保できるのか。解決に向けて、5つの提言を示す。

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シリーズ 90億人の食 世界の食の未来

世界の人口は、2050年までに90億人に達する。地球環境に負担をかけずに、十分な食料を確保できるのか。解決に向けて、5つの提言を示す。

文=ジョナサン・フォーリー
写真=ジョージ・スタインメッツ、ジム・リチャードソン

 世界の人口は、2050年までに今より20億人増え、90億人に達する。中国やインドをはじめ新興国の人々の生活が豊かになり、肉、卵、乳製品の需要が伸びれば、家畜の飼料となるトウモロコシと大豆の増産も必要だ。
 この傾向が続くと、人口の増加と食生活の変化という二つの要因が重なり、2050年までに世界の作物の生産量を現在のおよそ2倍に増やす必要があると考えられる。地球環境に負担をかけずに、十分な食料を確保できるのか。

食料問題を解決するための「5つの提言」

 この問題にどう対処すべきかについては、議論が真っ二つに分かれている。一方は、化学肥料や農薬を使って大量生産した作物を世界規模で流通させる、大規模農業を支持する陣営。もう一方は、地産地消と有機農業に未来があるとする陣営だ。

 大規模農業の支持者は、機械化や灌漑施設の整備、化学肥料の使用や遺伝子組み換え技術の導入で増産を達成できると主張する。この考えは正しい。
 一方、地産地消と有機農業の支持者は、化学肥料や農薬に頼らずに土壌を改良する技術を使えば、貧しい国々の小さな農家は収穫量を大幅に増やし、貧困から抜け出せると主張する。この意見も正しい。

 実際、どちらか一つを選ぶ必要はない。両方の利点を生かした解決策を探るべきだろう。ここでは、世界の食料問題を解決するために、5つの提言を示したい。

提言1 農地を拡大しない
 農耕が始まって以来、人類は食料を増産する必要に迫られると、森林を切り開き、原野を耕して農地を拡大してきた。すでに世界の陸地のうち、南米大陸とほぼ同じ面積が耕作地になっている。

提言2 今ある農地の生産性を高める
 1960年代に始まった「緑の革命」は、品種改良、化学肥料の使用、灌漑施設の整備、機械化により、アジアと中南米諸国で作物の増産を成し遂げたが、環境に大きな負担をかけている。今後は、アフリカ、中南米、東欧など、農業生産性の低い地域の収穫量を増やすことに注力すべきだろう。

※ 残り3つの提言は「資源をもっと有効に使う」「食生活を見直す」「食品廃棄物を減らす」です。くわしくは、ナショナル ジオグラフィック2014年5月号をご覧ください。地図やグラフィックで食料問題を詳しく解説しています。ナショナル ジオグラフィックは今号から8回シリーズで、食の未来を展望します。

編集者から

 今回の特集でいちばん衝撃的だったのは、牛や豚、鶏に与える穀物飼料のカロリーを100とした場合に、その肉から得られるカロリーが12以下しかないというデータです。こんなに生産効率が悪いのなら、健康のためにも食生活を見直したほうがいいのかと、とんかつ好きの私は思いました。年齢も年齢だし。
 シリーズ「90億人の食」は今年の12月号まで毎月連載。6月号では養殖の未来について考えます。(編集T.F)

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