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世界一巨大な電波望遠鏡が、南米チリのアタカマ砂漠でいよいよ始動した。アルマ望遠鏡の66基のアンテナが、初期の宇宙に目を凝らす。

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宇宙誕生 見つめる目 アルマ望遠鏡

世界一巨大な電波望遠鏡が、南米チリのアタカマ砂漠でいよいよ始動した。アルマ望遠鏡の66基のアンテナが、初期の宇宙に目を凝らす。

文=ユディジット・バタチャルジー/写真=デイブ・ヨダー

 南米チリ・アタカマ砂漠の標高5000メートルの高地で建設が進められていた大型の電波望遠鏡が、ついに稼働し始めた。その名は「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA、略称アルマ望遠鏡)」。電波望遠鏡とは何ものか? それで宇宙の何が見えるのか?

 宇宙にある天体は、その温度に応じて、さまざまな波長のエネルギーを放射する。たとえば極めて高温になる超新星爆発では、太陽の数十億倍もの可視光線に加え、高エネルギーのX線、ガンマ線などが放たれる。それらは特殊な望遠鏡を使って観測が可能だ。比較的温度が低い彗星や小惑星は、可視光線よりも波長の長い赤外線を発している。

 一方、これら以外の宇宙の大半は、さらに温度が低い。恒星の材料となるちりやガスの雲の温度は、絶対零度をほんのわずかに上回る程度で、惑星が誕生するのもこうした環境だ。新たに生まれた恒星の周囲に渦巻くちりやガスが集まって、惑星が形成されていくのである。

「冷たい宇宙」を観測せよ

 こうした「冷たい宇宙」から届く、赤外線より波長の短い電波(ミリ波やサブミリ波)を、地上の望遠鏡で観測するのは容易ではない。最大の課題は膨大なノイズ。地球の大気中をほとんど邪魔されずに進む可視光線とは違い、ミリ波やサブミリ波は水蒸気に吸収されやすく、大気の影響を受けやすい。宇宙から届く電波は地球の大気中で弱まり、ノイズが混じってしまうのだ。

 また、ミリ波やサブミリ波が伝えるエネルギーは可視光線よりはるかに小さく、巨大なパラボラアンテナを備えた電波望遠鏡を使っても、かすかな信号しか得られない。

 そこで科学者たちが考え出した解決策が、複数のアンテナを組み合わせる方法だった。空気の乾燥した土地に、アンテナをいくつも並べて宇宙からの電波を集め、全体を一つの望遠鏡として観測を行うのだ。

 こうして完成したのが、地上望遠鏡では世界最大のアルマ望遠鏡だ。開所式が行われたのは2013年3月。これまでわからなかった、初期宇宙の銀河や惑星の誕生プロセスなどについて、期待に応える成果を次々に上げている。

※ナショナル ジオグラフィック2014年4月号から一部抜粋したものです。

編集者から

 雨が少なく、からからに乾燥していて、標高が高く空気の薄いところ…。電波望遠鏡での観測に理想的な土地として白羽の矢が立ったのは、南米チリにあるアタカマ砂漠の高地でした。特集記事では、アルマ望遠鏡の建設地がアタカマ砂漠の高地に絞り込まれる最終段階のエピソードを紹介しています。
 実は、その前段階では各国がばらばらに構想をあたため、候補地探しに試行錯誤を重ねていました。観測に適したところはどこも、人も住まないような過酷な土地ばかり。一番困るのは何かというと、電源がないことだそうです。そこで発電機を砂漠に持ち込んだり、太陽電池パネルを設置したり…。webナショジオ「研究室に行ってみた。」には、今回の特集記事も査読いただいた東京大学の河野孝太郎先生が登場。現地調査の苦労話や、ブラックホールを対象とした最新の研究成果などを紹介しています。特集と併せて、ぜひお読みください。(編集H.I)

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