「深い睡眠」が「よい睡眠」とは限らなかった――睡眠の正しい改善法とは
朝、目が覚めたときに、「ぐっすり眠れた」「よく寝た」と思えたときは気分がいいもの。1日の始まりとしては申し分ないが、睡眠学の最新の研究によれば、実は「深い睡眠」が「よい睡眠」とは限らないということが明らかになっている。
深い睡眠とは、眠りはじめの数時間にあらわれるノンレム睡眠のこと。大脳皮質の活動を休めるために発達した高等動物ならではの睡眠で、脳波はゆっくりとなり、脳がしっかり休むことができる。また、深い睡眠は年齢とともに減り、高齢者になるほど短くなることも知られている。
『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP社、川端裕人氏と共著)を上梓した、日本の睡眠研究をリードする国立精神・神経医療研究センターの三島和夫先生は説明する。
「たとえば、高齢者の深い睡眠が若者並みに増える特殊な治療薬があります。これを投与すればよく眠れるだろうと思って高齢の患者さんに試したところ、結果は正反対でした。朝起きて『ぐっすり眠れた』と言うかと思ったら、『全然眠れなかった』と言ったりするんです。反対に、睡眠薬のなかには、満足感を高めるにもかかわらず、深い睡眠を減らしてしまうものも少なくありません」
「深い睡眠」が増えたのに「全然眠れなかった」というのは実に不思議だ。しかし逆に考えれば、心身の休養感があれば「途中で目が覚めた」「睡眠時間が短かった」としても、さほど悩む必要はないとも言える。あまり気に病むと、不眠症にもなりかねない。
もちろん、朝起きて「ぐっすり眠れた」「よく寝た」と思えることは大切だ。「ぐっすり」や「快眠」をうたう本や記事が多いのはそのためだろう。だが、本当に睡眠を改善するには、目覚めの感覚だけにこだわらず、日中のパフォーマンスなども含めて総合的に判断する必要があると三島さんは言う。
「睡眠時間も、夜型・朝型などのリズムも、睡眠は人それぞれですし、年齢やライフスタイルによっても変化します。平均身長はあってもベストな身長がないのと同じで、100点満点の眠り方などありません。睡眠の話には都市伝説めいたものも数多く見受けられますが、そういうものに惑わされず、睡眠科学に基づいた正しい知識をもとに“自分なりの改善法”を見つけてください。それが唯一の正解です」
(Web編集部S)
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