第14回 家族の絆を深めるサンデーランチ

 東京メトロ日比谷線の広尾駅。出口にある案内板を見て思わず「すごいなあ」とつぶやいた。ノルウェー、スイス、カタール、クロアチア……と各国大使館の名前で埋め尽くされているからだ。広尾駅周辺に大使館が多いことは周知の事実だが、こうやって並んでいるのを見るとなんだか圧倒される。

 この界隈に大使館が集中している理由は明治時代まで遡る。明治政府と欧米諸国が大使館建設地を協議していくなかで、東京都内から選ぶこと、港のある横浜に近いこと、地盤がしっかりしていること、警備のために同じエリアに固めることなどの条件を満たす場所として、武家屋敷が並んでいた広尾を含む現在の渋谷区、港区周辺が選ばれたのだという。日本には現在170カ国以上の大使館があるが、港区だけでも約半数が所在しているそうだ。

 輸入食品が豊富な駅前のスーパー・明治屋にでも行くのだろうか、子ども連れの欧米女性とすれ違いながら、私は日本赤十字社医療センターの方に向かって歩いた。目的地はセンターからほど近いスロベニア大使館。併設されている政府観光局のティナ・ザドニックさんに、スロベニアの故郷の味「サンデーランチ」をごちそうしてもらう約束をしているからだ。

 きっかけは都内で行われた、日本に住むスロベニアの人たちが開催した「セント・マーティン・デー(収穫祭)」のパーティーでのこと(第13回参照)。料理やワインをいただきながら、私はティナさんたちスロベニア人と「懐かしの郷土料理」についての会話を交わしていた。