第1回 宇宙エレベーターはいつできる?

「なぜ宇宙エレベーターで宇宙に行くのか。今だってロケットがあるじゃないかということになりますが、ロケットだと燃料をたくさん使うので、それが今、宇宙開発のネックになっているんです。例えば1キログラムの物を運ぶのに100万円ぐらいする。1トンで10億円。宇宙エレベーターを使うと、それが100分の1ぐらいになる。1トンで1000万円ぐらいなんですね。また、ロケットではいろんな制約があって、余り大きなものを宇宙に持っていけなかったんですけど、宇宙エレベーターなら何10トンのものも持ち上げられます。物も人も割と頻繁に簡単に行けるようになるんです。観光で宇宙に行きたい人も、数百万円、豪華客船で世界1周するくらいの感覚で地上3万6000キロメートルの静止軌道に行けるはずです」

 今の時点でも「宇宙飛行」のサービスを提供しようとしている民間企業が複数あるが、1000万円前後くらいの価格で、100キロくらいの高さまで飛ぶサブオービタル飛行(地球を周回しないで降りてくる)を数分間楽しめる、というものだ。宇宙エレベーターを使えば、もっと安く、もっと期間も長く、高度3万6000キロメートルの静止軌道での滞在を楽しめるというのである。

 なかなか夢のある話ではないだろうか。

 では、建設会社の中に、宇宙エレベーター・プロジェクトチームがあるというのは、どういうことか。はたして、東京スカイツリーを作るのと同じように、現実的な設計や施工の仕方の見込みがついたということなのだろうか。

 石川さんは、「宇宙エレベーターは、今すぐできるというわけではないんです」とまず最初にその点には釘を刺した。

「でも、現在の技術の延長線上で可能だとは考えていて、わたしたちの検討では2050年の実現を想定しています。ことの発端は、東京スカイツリーが完成して、世界一高い自立電波塔ができたと。なら、それを超えるタワーを建設会社なりに考えてみよう。それなら、宇宙エレベーターはどうかというのがきっかけだったんです」

石川さんのプロジェクトチームが描いた宇宙エレベータの全体像。(画像提供:大林組)(写真クリックで拡大)