第4回 豪華な花の冠 ポーランドの花嫁衣裳(1930年)

 ポーランド、ウォヴィチ近郊で1930年に撮影された花嫁の写真です。頭飾りは真珠や大小の装飾品、そして彩り鮮やかな花をたっぷりと使っていて、まるで豪華な花束をそのままかぶったような美しさですね。

 縞模様のスカートは結婚式だけでなく、普段から着られていました。当時の記事で「七色の服装」と形容されたカラフルな配色は、人それぞれに違っていたので、何人かが集まるとそれは賑やかな光景になったのです。

(c) HANS HILDENBRAND/ National Geographic Creative(写真クリックで拡大)

 ウォヴィチはポーランドの中部に位置する小規模な都市ですが、かつては国の中心都市だったこともあり、独自の伝統文化が残っている場所です。当時の写真で、ポーランド南部の都市クラクフの花嫁衣装と比較しても、一見して分かるほど違います(書籍『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』p142に掲載)。

 書籍『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』では、こうした豪華な花嫁の頭飾りをポーランド以外でも見ることができます。ドイツやハンガリー、ノルウェーでもたいへんきらびやかな、顔よりも大きな頭飾りをつけていて、一見の価値ありです。

 この写真を撮影したときのポーランド取材は、「ナショナル ジオグラフィック」1933年3月号に特集記事として掲載されました。この一枚は雑誌に掲載されませんでしたから、初めての紹介となります。鮮やかなカラーは世界初の商業カラー写真技術、オートクロームで撮影されたものです(「ナショナル ジオグラフィック」におけるオートクロームの歴史についてはこちら)。

 次回は頭飾りなら負けていない、モンゴルをご紹介します。




 この連載の写真は、下の写真集に収録されています。

『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ナショナル ジオグラフィックの貴重なアーカイブから、およそ100年前の世界の人々の服装を紹介。Tシャツとジーンズに駆逐される以前の、リアルな日常服としての民族衣装を212点収録。

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