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世界最古の熱帯雨林に暮らすヒクイドリのユニークな姿と生態を、世界報道写真賞2013を受賞した写真でレポートする。

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太古の森にすむ巨鳥 ヒクイドリ

世界最古の熱帯雨林に暮らすヒクイドリのユニークな姿と生態を、世界報道写真賞2013を受賞した写真でレポートする。

文=オリビア・ジャドソン/写真=クリスチャン・ツィーグラー

 オーストラリア北部やニューギニア島の熱帯雨林に生息する、ダチョウに次いで世界で2番目に重い鳥、ヒクイドリ。成鳥の雄がまっすぐに立つと、身長165センチの私を見下ろせるほど大きく、体重50キロを超える個体もいる。雌の成鳥はさらに大柄で、大きなものだと体重70キロを超す。

 それぞれの個体はすぐに見分けられる。長い肉垂とまっすぐなとさかをもつもの、とさかが右に曲がったものなど、さまざまなのだ。こうした明確な個体差と体の大きさ、そして空を飛べないという事実が相まって、彼らは奇妙なほど人間めいた印象を与える。体の大きさも動作も、人間によく似ている。

 彼らが長い間、先住民の神話で擬人化されてきたのもうなずける。ヒクイドリは人間の親戚だと信じる人もいれば、人間が輪廻によって生まれ変わった姿だという言い伝えもある。だが、人間と似ていない部分もある。雄が子育てをすべて引き受けることだ。ヒクイドリは父親が卵を温め、ヒナが孵化してから9カ月以上も世話をするので、人間の女性からうらやましがられている。

巨鳥が支える太古の森

 実はこの鳥は、太古の熱帯雨林を支えるという重要な役割を果たしている。

 オーストラリア北部の熱帯雨林は、古生代後期から中生代に存在したゴンドワナ超大陸の名残だ。はるか1億年前、オーストラリア大陸と南極大陸はひと続きで、地表の多くを雨林が覆っていた。現在この地域で見られるのは、そうした太古の植物の末裔なのだ。

 ヒクイドリはこうした熱帯雨林で主に果物を食べて暮らしている。1日に数百個の果実を食べるが、消化力が弱いので種子は無傷のまま排出される。そのため、縄張りを歩き回るうちに、種子を森のあちこちへと運ぶことになる。自然に落下しただけでは移動不可能な場所まで種子を運んでくれるヒクイドリは、植物にとって頼もしい“種子の運び手”なのだ。

 さらに、多くの樹木にとってヒクイドリは唯一の運び手でもある。小鳥やコウモリ、ニオイネズミカンガルーのような有袋類の動物たちも果実を食べるが、体が小さいので大きな実を遠くに運ぶことはできない。そして熱帯雨林の木の多くは、果実も種子も大きくて重い。そのほうが薄暗い森の地面でよく育つからだ。

 森のあちこちで果実を食べ、種子をばらまく動物たちは、植物に新たな成長の場を与えることで、森の未来を創造しているのだ。なかでも果実を最もよく食べるヒクイドリは、森づくりのプロジェクトリーダーといったところだろう。

 ヒクイドリに発芽を助けてもらう植物もある。例えばアカリア科の一種(Ryparosa kurrangii)だ。オーストラリア沿岸の一部の熱帯雨林だけに自生する木で、ある調査によれば、ヒクイドリが関与しない場合はわずか4%しか発芽しない。だがヒクイドリの体内を通過した後の発芽率は、92%に跳ね上がるという。

 ヒクイドリが絶滅すれば、森の植物相は徐々に変わっていくはずだ。

※ナショナル ジオグラフィック9月号から一部抜粋したものです。

編集者から

 鳥好きの人は必見!どの写真もとにかく素晴らしいのですが、ヒクイドリ自体が驚くほど表情豊かな鳥なのです。きっとあまり同意を得られないと思いますが、個人的には、目の横にある耳の穴が丸見えなのが何とも言えずカワイイです。2013年世界報道写真コンテスト自然の部(単写真)の1位に入賞した写真も是非ご覧になってください。(編集M.N)

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