第1回 アルジェリアの目ヂカラ女子(1922年)

 目が合ったまま離せなくなりそうなほど、強力な目ヂカラの少女。思わず吸い寄せられそうになります。

(c) LEHNERT & LANDROCK/ National Geographic Creative(写真クリックで拡大)

 この写真は「ナショナル ジオグラフィック」1922年10月号の「北アフリカの人と場所」特集に掲載されました。撮影されたのは1914年以前、およそ100年前です。

 顔の周りのコインは金貨。さらに宝石や金銀細工でつくった頭飾りやバングル、金糸の刺繍をほどこした服など、当時でもひときわ派手な格好だったようです。

 なぜこんなに飾り立てているのでしょうか。

 彼女が身につけている金貨や宝石は、実は結婚資金なのです。貴金属を財産として身につける習慣は、移動の多い遊牧民を中心に、今でもよく見られます。

 アルジェリア内陸の砂漠地帯に住むウル・ナイル族の女性は、子どもの頃から地中海沿岸へ行き、外国人や地元の富裕層相手にダンスを披露することで、お金を稼いでいました。現在のベリー・ダンスのもとになったといわれるダンスです。こうして稼いだ結婚資金が目標額に達すると、女性たちは故郷に帰ったそうです。

 ナショナル ジオグラフィック協会にはウル・ナイルの女性の写真がたくさん保管されています。それらを見ると、宝石や金貨の装い方から眉間や頬の模様まで人によって様々で、それぞれに個性を発揮していたようです。この写真はとくにメイクもよくわかる一枚です。

 次回は中国山間部のプリンスが登場します。




 この連載の写真は、下の写真集に収録されています。

『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ナショナル ジオグラフィックの貴重なアーカイブから、およそ100年前の世界の人々の服装を紹介。Tシャツとジーンズに駆逐される以前の、リアルな日常服としての民族衣装を212点収録。

ナショジオストア アマゾン