第4回 さらに深まるウナギの危機 歯止めかからぬ資源減少

 昨年、養殖ウナギの「原料」になるシラスウナギの極度の不漁が大きな話題になった。あれから1年、今年も土用の丑の日がめぐってくる。この1年間、一部で資源保護に向けた取り組みも進み始めたが、ウナギを取り巻く状況は依然として悪化が続き、状況は更に深刻化した。ウナギを守るためにわれわれが取り組むべき課題は山積している。

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絶滅危惧種

琵琶湖のウナギ漁。『ナショナル ジオグラフィック日本版』2010年9月号に掲載された(写真クリックで同号へ)

 今年2月1日、日本の環境省は定期的に行っている絶滅危惧種のリスト(レッドリスト)の見直しの中で、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定したと発表した。

 レッドリストの絶滅危惧種は、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧IA類」、IA類ほどではないが、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「同IB類」、絶滅の危険が増大している「同II類」の3ランクに分けられ、最新のリストでは計3597種に絶滅の恐れがあるとされている。ニホンウナギはIBにランクされ、他の生物ではアマミノクロウサギやライチョウ、イヌワシなどがある。

 農林水産省が公表している全国の主要な河川における天然の親ウナギの漁獲量データが指定の根拠の一つだった。ウナギの成熟年齢は4~15年と考えられており、天然ウナギの漁獲量データをみると、3世代(12~45年)の減少率は72~92%となる。

 絶滅危惧種のIB類とされる基準の一つは「過去10年間あるいは3世代のどちらか長い期間において、少なくとも50%以上は成熟個体が減少していると推定される」というものであるため、ニホンウナギは絶滅危惧種である、というのが環境省の説明だ。

 ウナギの生態研究の第一人者、塚本勝巳・日大教授は「4年続きのシラスウナギ(ウナギの稚魚)大不漁で、まさか絶滅まではと思っていた懸念が現実のものとして迫ってきた」と現状を分析する。