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リスク・テイカー 危険覚悟の挑戦者

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音で世界を「見る」

ダニエル・キッシュ

文=マイケル・フィンケル 写真=マルコ・グロブ

ダニエル・キッシュは先天的な目の病気(網膜芽細胞腫)があったため、生後13カ月までにその両眼を失っていた。ほどなく彼は「舌打ち音(クリック音)」を立てながら動き回るようになった。47歳になった今では、主にエコーロケーション(反響定位)を頼りに行動している。そう、コウモリのように。

――人間でもエコーロケーションができるのですか?

 舌打ち音を立てると音波が放たれ、周囲にある物体に当たってかすかな反響が返ってきます。それを耳でとらえて、脳でイメージに変換するんです。いわば、周囲の環境と対話しているようなものですよ。

――心の目には、どんなイメージが映るのでしょうか。

 舌打ち音を立てるたびに、弱いカメラのフラッシュが焚(た)かれる感じです。それを元に半径数十メートルの三次元イメージを組み立てます。近くなら直径2センチの細い柱も感知できるし、車や茂みなら5メートル先、建物なら50メートル先でもわかります。足元の小さな物や段差はわかりにくいので、白い杖(つえ)は必要ですけど。

――自転車にも乗るそうですね。どんな感じがしますか。

 わくわくしますが、周囲の音に対して常に高い集中を保ち続ける必要があります。舌打ち音は普段よりかなり多めに、毎秒2回くらい鳴らしますね。

――ほかの視覚障害者にエコーロケーションを教えるのは難しいですか?

 視覚障害者の支援団体「ワールド・アクセス・フォー・ザ・ブラインド」を作り、世界30カ国以上で1000人近くに教えてきました。多くの人はすぐに成果が表れるのに驚き、想像もしなかった自由を手に入れています。人間は本来、エコーロケーションの能力を秘めているのではないでしょうか。照明のない大昔、人類はこの力を駆使していたのかもしれません。おそらく神経系の“ハードウェア”は元からあって、私はその起動法を見つけただけ。視覚とは目ではなく、脳の中にあるのです。

電子版では、写真家グロブが撮影したキッシュのインタビュー動画をご覧になれます。

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