第4回 アジアに来たとき、ヒトは何をしていたのか

 国立科学博物館の海部陽介研究主幹は、研究者である父親の背を見て育った。

 父上は、海部宣男・国立天文台名誉教授で、世間的には、ハワイ島のマウナ・ケア山頂に建設された「すばる望遠鏡」計画のリーダーとしての知名度が高い。現在は、国際天文学連合(IAU)会長を務める、天文学の国際的重鎮だ。

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「やっぱり父の影響というのは当然あって、自然科学には興味がありました」と息子である海部陽介さんは述べる。「あと歴史だとか考古学も好きだったんです。そういう研究者になりたいと子供のときから思っていて、その中でどれが面白そうかなと。父親のやっていないことの方がよかったので、天文学は排除して、それで一番面白そうなのはどれかと考えるうちに、人間の進化の研究、というふうに思ったんですね」

 海部さんが、人類進化の研究を志したのは、大学に入る前だったようだ。文化人類学ではなく、化石を扱う自然科学系の人類研究というと、当時、本格的な研究ができる大学は東京大学か京都大学しかなく、海部さんはそれを意識して東大に入った。