第1回 人類進化の「常識」を覆した“小さな巨人”、フローレス原人

●最も古い人類の化石は、700~400万年前のアフリカの地層で見つかっている。初期の猿人である。直立二足歩行というヒトの特徴を持ち、森やその周辺で暮らしていた。猿人は数百万年の間、アフリカ大陸の中だけで暮らした。

●180万年前頃、猿人から進化した原人(ホモ・エレクトス)が、初めてアフリカの外へ出て、ユーラシア大陸へ広がった。彼らには足が長いという特徴があった。

●50万年前以降になると、各地でさらに進化したネアンデルタール人などの旧人や、フローレス原人が現れた。人類が多様化した時代だが、彼らには大きな海を渡ること、凍えるような寒さの地域に進出することはできなかった。

●およそ20万年前のアフリカで、旧人から進化した新人、ホモ・サピエンスが登場した。さらに、およそ10万~5万年前、ホモ・サピエンスの幾つかの集団がアフリカの外へと移動を始め、世界中へ広がった。

 学校教育を受けた時期によって、こういった現在の通説自体が「え、そうだったの?」という驚きを呼ぶかも知れない。60年代生まれのぼくはまさにそうで、ヒトの歴史上、大きな進化が起きたのが常にアフリカであり、その都度「出アフリカ」を果たしていたということ自体、「へえ!」という驚きの対象である。高校教育を受けたのが80年代であり、現生人類ホモ・サピエンスの起源について論争が活発に行われたのが90年代ということなので仕方ない。

 そんな大きな背景を踏まえつつ、今回の旬の話題は、様々な意味で興味深いフローレス原人、ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)。2003年にインドネシアのフローレス島で発見された約2万年前の人骨は、さまざまな「常識」に反したもので、それゆえ疑義も呈されてきた。

 では、その常識外れの部分はどういうものなのか。海部さんに語っていただこう。

左から猿人、原人、旧人、新人。(写真クリックで拡大)