リスク・テイカー 危険覚悟の挑戦者

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14座制覇の女性登山家

ゲルリンデ・カルテンブルンナー

聞き手=アマンダ・フィーグル  写真=マルコ・グロブ

ゲルリンデ・カルテンブルンナーは、標高8000メートルを超える14の山をすべて無酸素で登頂した史上初の女性登山家。オーストリア出身、42歳の元看護師。極めて危険な状況に直面しても、ほとんどの場合「まだまだ安全」と感じるという。

――なぜ山に登るのですか?

 最小限の装備だけ持って山に入ると、本当の自分になれます。完全に集中している瞬間に、自由を感じます。ただ登ること以外、何も存在しないんです。

――肌身離さず持っているものはありますか?

 チベットで手に入れたブレスレットです。パワーとエネルギー、成功、健康を象徴する石がついているのよ。

――これまでで最も恐ろしかった瞬間は?

 2007年のある朝、ネパールのダウラギリで雪崩に遭い、テントごとさらわれました。流れが止まった時は真っ暗で、どっちが空で、どっちが地面なのかわかりませんでした。でも思ったんです。「息をしているから、大丈夫」ってね。いつも携帯している小さなナイフでテントに穴を開け、少しずつ外に抜け出しました。近くのテントにいたはずのスペイン人登山家を探しましたが、3人のうち2人は死んでいました。その瞬間、初めて山から逃げ出したくなったんです。

――そんな体験からどうやって立ち直ったんですか?

 同じ登山家である夫と話すことで救われました。あの悲劇をなかったことにする方法はないと悟りました。自分が山に登らずにはいられないこともね。1年後、私は同じ場所に戻りました。そうしたら、見たこともないほど美しい朝日が昇ったんです。喜びと悲しみって、時にはすぐ近くにあるものなんですね。

――同じ夢をもつ若者に、何かアドバイスをお願いします。

 一番大事なのは情熱。他人の言うことが、あなたにとってベストとは限らない。自分の魂、肉体、本能の声を聞いて。本当に好きなら、夢をつかむ方法は見つかるはず。でも情熱がなければ、方法が見つかっても無意味だわ。

2012年4月号特集「K2 非情の山に魅せられた女性」

カラコルム山脈にそびえる世界第2の高峰、K2。エベレストよりも登攀が困難と言われ、多くの死者を出しているこの山に、オーストリアの女性登山家ゲルリンデ・カルテンブルンナーが、女性初の無酸素登頂をめざして挑んだ。

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